2015/07/29 国交省/積算簡素化へ新方式検討/変更前提に概算発注、施工者も関与

【建設工業新聞 7月 29日 1面記事掲載】

国土交通省は、直轄工事の積算作業の簡素化とミスの防止に向け、入札時点では精密な積算まで行わず、契約後の変更精算を前提とした二つの発注方式を導入する方向で具体的な検討に入った。設計業務と同時並行で工事を発注し、施工者を詳細設計に関与させて設計完了後に契約変更を行う「(仮称)概算発注方式(設計業務並行型)」は制度設計を進め、試行を目指す。仮設備など予定価格への影響が小さい部分は主要部分に占める割合で積算する「(仮称)概略発注方式」も実施に向けた準備を進める。いずれの新方式も、当初積算をめぐる受発注者双方の作業負担を軽減し、積算上のミスを防ぐのが狙いだ。概算の積算に基づいて入札・契約を実施し、着工前の現地精査の結果などを踏まえて変更精算をする。全国の地方整備局で試行し、課題を抽出したい考えだ。

概算発注方式は、標準断面型と設計業務並行型に整理した。標準断面型は例えば堤防の場合、元の地形によって場所ごとに断面が異なっても標準の断面で積算して発注する方法。数量は明示する。現在、既に導入されている。一方、新たに導入を検討している設計業務並行型は、工事は概算の積算で発注し、着工前の現地精査の結果を反映させて設計を修正する。発注者、設計者、施工者による3者会議で詳細設計を作成し、詳細設計に基づいて工事の契約変更を行う。施工中も必要に応じて設計業務で修正を実施する。

施工者が設計段階に関与する点では、ECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式に近い。国交省は設計業務並行型を積極的に展開していく構えだ。橋梁上部工や電線共同溝などで効果を発揮するとみている。概略発注方式は、条件が変わっても予定価格に与える影響が小さい工種が対象。トンネルでいえば仮設備などの付属工事などが該当する見通し。メーンの工種に対する割合を明示して発注する。部分的に応札段階で詳細な積算を行う必要が無くなる。

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