2015/10/06 全建会員/賃金水準上昇、社会保険加入も改善/法定福利費、6割が明示求める

【建設工業新聞 10月 6日 1面記事掲載】

全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は、傘下の都道府県建設業協会の会員企業に行った賃金水準と社会保険加入などに関する状況調査の結果を明らかにした。従業員の基本給や一時金を引き上げた企業が増加し、賃金水準の改善が進んでいることが判明。国が社会保険未加入対策を強化する中、下請に加入指導する企業も多く、1次下請は健康・厚生年金・雇用の3保険とも加入率が94%、作業員の健康保険加入率は91%に達し、いずれも前年調査の水準を上回った。

調査は、処遇改善を進めるために2月に策定した「将来の地域建設産業の担い手確保・育成のための行動指針」を踏まえ、現状把握を目的に実施。47都道府県協会の会員企業からそれぞれ30社を対象に、8月3日時点の賃金、社会保険加入などの状況を調べた。回答したのは45協会の計1208社。

賃金については、最近1年間に従業員の基本給や一時金を引き上げたとの回答が85%(前年80%)に増え、引き上げ予定を含めると91%(85%)が賃金を改善させていた。下請契約の労務単価も86%(79%)が「引き上げた・引き上げ予定」と回答した。下請の次数は、「なし」を含めて2次までが91%を占め、行き過ぎた重層下請を解消するための条件には、「適切な発注」(回答割合27%)や「受注の平準化」(20%)が挙がった。

社会保険加入では、1次下請企業の健康・厚生年金・雇用の各保険加入率がいずれも94%。前年より1~2ポイント上昇し、全建は「着実に進展している」(労働部)とみている。3保険の平均で対象が約5・2万人となる現場作業員の加入状況は、健康91%(前年83%)、年金84%(81%)、雇用80%(76%)と上昇していた。

下請に見積もりを依頼する際の条件に法定福利費の内訳明示を求めた会員企業は34%、一部求めたは28%。「求めていない」が38%あったが、求めている企業が60%を超えた。大多数の下請から標準見積書が「提出されている」とした会員企業は52%、「提出されていない」は17%だった。2次下請企業に直接、社会保険加入を指導した会員企業は13%、1次下請を通じて指導したのは64%。指導を行っていないは9%にとどまった。

現場の休日・休暇について聞いたところ、一定期間内で労働時間(1週40時間)の配分を変える「変形労働時間制」を採用していたのが47%。4週8休は5%にとどまり、4週6休が23%、4週4休が15%と続いた。現場で週休2日を実現するための条件には、「適正な工期設定」(23%)、「労務単価・経費のアップ」(18%)、「受注量の平準化」(15%)を挙げた企業が多かった。元請従業員の有休取得は「10日未満」が79%に達した。

全建は、11月4日に東京都内で「全国建設労働問題連絡協議会」を開き、各協会に処遇改善の必要性をあらためて周知する考え。調査結果は、全国の公共発注機関と7日から始める地域懇談会・ブロック会議での主張に役立てていく。

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