2015/10/09 石井啓一国交相が就任会見/公共投資の安定確保重要/ストック効果重視

【建設工業新聞 10月 9日 1面記事掲載】

7日発足した第3次安倍改造内閣の石井啓一国土交通相は同日深夜、国交省で就任記者会見し、「東日本大震災からの復興の加速化、国民の安心・安全の確保、災害対応、防災・減災対策、インフラ老朽化対策にしっかりと取り組んでいきたい」と意気込みを語った。社会資本整備を支える建設業については、「(予算削減で)業界自体が疲弊し、特に担い手の育成を進められなかった」と指摘。「長期的に安定した仕事を確保していくことが重要だ」と述べ、公共事業などの建設投資を安定的に確保していく必要性を強調した。

石井国交相は建設業の現状について、震災復興事業や民間投資の増加で需要が回復している一方、「少し前を振り返ると、長年にわたる事業量の減少で、業界自体が疲弊した」と指摘。その結果「若い方を採用して育てなかった弊害が今、非常に出てきている」と担い手確保・育成に対する問題認識を表明した。

その上で、「長期間にわたって仕事量を確保していくことによって先の見通しが立ち、(企業が)人材育成や設備投資、技術開発をしていこうという動きが出てくる」と強調。前任の太田昭宏国交相と同様、公共投資の安定的・持続的確保に取り組む方針を示した。国交省への初登庁前に首相官邸で行われた会見でも、社会資本整備を「次世代への設備投資」と表現し、「インフラのストック効果を十分発揮できるような事業に選択と集中でしっかりやっていく。戦略的なメンテナンスにも取り組む」と太田前国交相の路線を継承していく考えを示した。

国交省での記者会見では、安倍晋三首相から、国土強靱(きょうじん)化を進めて地域経済の発展につなげ、交通網の整備を地方創生の起爆剤とするよう指示を受けたことを明らかにした。

住宅政策に関しては、出生率を上げていくため3世代の近居・同居を促進する施策を検討する方針を表明。インフラシステム輸出では、「海外交通・都市開発支援機構を活用しながら海外展開を促進していく」と述べた。

石井国交相は旧建設省の技官を11年務めた後、政界入りした経歴を持つ。会見では、「22年9カ月ぶりに戻ってきた。(旧運輸省、旧国土庁などと統合し)大きな役所になっており、そういった意味では新たな決意で仕事に当たらなければならない。新人のつもりで臨みたい」と古巣での活躍に強い意欲を示した。

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