2015/11/10 全建ブロック会議を振り返る・中/品確法の幅広い浸透を/指名入札拡大求める声も
【建設工業新聞 11月 10日 1面記事掲載】
発注者と受注者双方の責務を規定した改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針に基づく発注関係事務が4月に始まり、今回の会合は「公共工事品確法の運用元年」(五道仁実国土交通省官房技術調査課長)の中で行われた。各地の会合では、公共事業予算の増額と同時に、同法の徹底と入札契約制度や施工現場の課題の解決が議題に上がった。
「まじめに経営に取り組む企業が活躍する環境整備が行われる時代が来た」(松田七男福井県建設業協会会長)。適正利潤の確保などをうたった同法への期待は大きく、公共工事への依存度が高い地域の協会は、市町村を含め発注機関に幅広く同法を浸透させるよう国交省に求めた。
適正利潤の確保をめぐっては、各地で活発な議論が行われ、青柳剛群馬県建設業協会会長は「予定価格の幅を持った設定」を求めた。資材や労務の実勢価格に幅があるのに加え、政府が物価上昇率2%を目標としていることを踏まえ、「線である予定価格に幅を持たせるべきだ」と主張した。発注者は、実勢価格に幅はあっても調査の裏付けがある単価を積み上げることが必要だが、この提案を「重い関心事項」(国交省担当者)と受け止めた。
低入札価格調査に関する議論も熱を帯びた。調査基準価格の算定式について、中国5県の建設業協会は、直接工事費率を100%(現行95%)、一般管理費等率を70%(55%)に上げるよう要望。東北6県の協会は、一般管理費等率と現場管理費(80%)をともに90%に高めるよう申し入れた。ただ、これを見直すとすれば、価格と成果物の品質の関係性を見極める必要があり、議論は今回も平行線をたどった。
「技術者を空けて4カ月で終わる2000万円の工事の発注を待ち、技術者に1年の報酬を払っている会員もある」(山中栄広高知県建設業協会会長)。東北6県の協会は、請負金額2500万円の工事の場合、現場管理費の3分の1が専任技術者の報酬になるとすると「収入は320万円程度」と指摘し、専任費用の別枠計上を求めた。九州・沖縄8県の協会は、安全・福利厚生・若者育成経費を別枠計上し、価格競争にさらさないよう主張した。
安全対策が徹底された現場でも労働災害が起きている現状を念頭に、施工中の事故による画一的な指名停止措置の是正を求めた協会や、受注機会を増やすために参加要件の柔軟な設定を求めた協会もあった。「本来得意分野を持つ会社を発注者が選ぶのが筋だ」として、指名競争入札の拡大を訴えた協会も多かった。
「変えてもらうしかない制度がある」(藤原正鳥取県建設業協会会長)、「進むべき道が見えない会員もいるから主張し続ける」(山中会長)。ハードルは高くても業界側は対応を求め続ける。
《入札・契約制度、施工現場の課題に関する主な議題》
△改正公共工事品確法運用指針の自治体への徹底
△適正利潤の確保、予定価格の適正な設定
△歩切りの根絶
△予定価格の事後公表
△指名競争入札の拡大
△低入札調査基準価格、最低制限価格の引き上げ
△適切な工期設定
△発注・施工時期の平準化
△地場企業の参入拡大
△適切な設計変更
△安全対策経費の見直し・増額
△工事検査の評価統一、書類の簡素化
△工事前払金特例措置の延長
△技術者報酬の明確な積算と計上
△施工中の事故による指名停止措置の是正
△施工パッケージ型積算方式の是正。
「まじめに経営に取り組む企業が活躍する環境整備が行われる時代が来た」(松田七男福井県建設業協会会長)。適正利潤の確保などをうたった同法への期待は大きく、公共工事への依存度が高い地域の協会は、市町村を含め発注機関に幅広く同法を浸透させるよう国交省に求めた。
適正利潤の確保をめぐっては、各地で活発な議論が行われ、青柳剛群馬県建設業協会会長は「予定価格の幅を持った設定」を求めた。資材や労務の実勢価格に幅があるのに加え、政府が物価上昇率2%を目標としていることを踏まえ、「線である予定価格に幅を持たせるべきだ」と主張した。発注者は、実勢価格に幅はあっても調査の裏付けがある単価を積み上げることが必要だが、この提案を「重い関心事項」(国交省担当者)と受け止めた。
低入札価格調査に関する議論も熱を帯びた。調査基準価格の算定式について、中国5県の建設業協会は、直接工事費率を100%(現行95%)、一般管理費等率を70%(55%)に上げるよう要望。東北6県の協会は、一般管理費等率と現場管理費(80%)をともに90%に高めるよう申し入れた。ただ、これを見直すとすれば、価格と成果物の品質の関係性を見極める必要があり、議論は今回も平行線をたどった。
「技術者を空けて4カ月で終わる2000万円の工事の発注を待ち、技術者に1年の報酬を払っている会員もある」(山中栄広高知県建設業協会会長)。東北6県の協会は、請負金額2500万円の工事の場合、現場管理費の3分の1が専任技術者の報酬になるとすると「収入は320万円程度」と指摘し、専任費用の別枠計上を求めた。九州・沖縄8県の協会は、安全・福利厚生・若者育成経費を別枠計上し、価格競争にさらさないよう主張した。
安全対策が徹底された現場でも労働災害が起きている現状を念頭に、施工中の事故による画一的な指名停止措置の是正を求めた協会や、受注機会を増やすために参加要件の柔軟な設定を求めた協会もあった。「本来得意分野を持つ会社を発注者が選ぶのが筋だ」として、指名競争入札の拡大を訴えた協会も多かった。
「変えてもらうしかない制度がある」(藤原正鳥取県建設業協会会長)、「進むべき道が見えない会員もいるから主張し続ける」(山中会長)。ハードルは高くても業界側は対応を求め続ける。
《入札・契約制度、施工現場の課題に関する主な議題》
△改正公共工事品確法運用指針の自治体への徹底
△適正利潤の確保、予定価格の適正な設定
△歩切りの根絶
△予定価格の事後公表
△指名競争入札の拡大
△低入札調査基準価格、最低制限価格の引き上げ
△適切な工期設定
△発注・施工時期の平準化
△地場企業の参入拡大
△適切な設計変更
△安全対策経費の見直し・増額
△工事検査の評価統一、書類の簡素化
△工事前払金特例措置の延長
△技術者報酬の明確な積算と計上
△施工中の事故による指名停止措置の是正
△施工パッケージ型積算方式の是正。
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