2015/12/04 石井啓一国交相/労務単価次期改定、法定福利費加算を継続/社保加入の徹底狙い

【建設工業新聞 12月 04日 1面記事掲載】

国土交通省は、公共工事設計労務単価の次期改定で、技能労働者の社会保険への加入を徹底させる観点から、必要な法定福利費相当額を加算する措置を継続する方針だ。3日の衆院国土交通委員会の審議で石井啓一国交相が表明した。設計労務単価は13年4月以降、3度にわたって引き上げられ、全職種・全国平均で12年度単価に比べて28%上昇している。石井国交相は、これまでの単価上昇分が技能労働者の賃金に反映される「好循環」につなげたいと強調した。

十数年にわたって下落を続けた設計労務単価(全職種・全国平均)は、11年度に1万3047円、12年度に1万3072円と2年続いた底値が13年度に反転。13年4月適用の単価が15%アップ、東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)では21%アップと過去最大幅の引き上げが行われた。平均単価は13年4月の改定で1万5175円、続く14年2月改定で1万6190円、15年2月改定で1万6678円となっている。

国交省と農林水産省による公共事業労務費調査の結果を踏まえて設定される単価は、労働市場の実勢価格を適切・迅速に反映させることが基本となる。

これに加え、13年4月の改定分からは、技能労働者の社会保険への加入を徹底させるために、未加入者も加入しているとみなして法定福利費相当額を加算する措置を取り入れている。

3日の衆院国交委で樋口尚也氏(公明)の質問に対し、石井国交相は現在進行中の労務費調査に基づく次期単価改定でも、この加算措置を継続する意向を示した。

13年4月の単価改定以降、国交省では、技能労働者への適切な水準の賃金支払いや社会保険加入が徹底されるよう、太田昭宏・前国交相が建設業界トップに異例の直談判を行ったのをはじめ、賃金水準の好循環につなげる取り組みを業界に繰り返し求めてきた。

厚生労働省の賃金構造統計調査によると、14年の職別工事の年間賃金は前年比で8・9%上昇した。設計労務単価の引き上げが技能者の賃金に浸透した効果が出たためとみられる。

石井国交相は答弁で、技能労働者の処遇の改善が一段と進むよう、「設計労務単価の引き上げ分が下請企業を含めた技能労働者に確実に行き渡るようにしていきたい」と述べた。

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