2015/12/10 日建連/技能労働者経験蓄積システムで提案/希望者幅広く受け入れを

【建設工業新聞 12月 10日 1面記事掲載】

◇アクセス権は慎重対応
日本建設業連合会(日建連)は、国土交通省などが検討している建設技能労働者の経験が蓄積されるシステムについて、技能労働者の登録を柔軟に行うよう求めるとともに、個人情報に対するアクセス権の範囲を慎重に設定するよう要請する方針を決めた。登録希望者に対する間口を広げ、アクセス権の設定には雇用者と現場それぞれのニーズに配慮するよう申し入れる。システムについて年内に出す提案に盛り込む。

日建連は、システムのあり方を含む提案を年内にまとめる方向で、7月から具体的な議論を行ってきた。システムの呼称には「建設キャリアシステム」を推奨中。9日に東京・八丁堀の本部で「建設キャリアシステム推進本部」の会合を開き、提案の内容を詰めた。

システムへの技能労働者の登録をめぐっては、本人確認を行いつつ入職希望者を幅広く受け入れる一方、工事の内容や場所などによっては現場作業に従事する人を厳格に管理したい発注者が少なくない。そこで、本人確認を重視し過ぎた登録制度は設けず、建設業で働きたい人を幅広く受け入れられる仕組みを求めることにした。現場に出入りできる技能労働者は、発注者や受注者が要件を定めたり、双方の協議で決めたりできるようにしたい考えだ。

アクセス権については、国交省が公表したシステム概要イメージ案で、本人と所属企業の同意があれば技能労働者の情報をほかの企業が閲覧できるようになっている。ただ経験値が高く、技能・技量に優れる人ほど「引き抜きや、囲い込みにつながる」(業界団体幹部)といった指摘が出ており、日建連は、元・下請業者双方に配慮した慎重な対応を要請する。

システムは、国土交通省や業界団体などの官民コンソーシアムが仕様を検討している。技能労働者の経験・技能に応じた処遇の確保や、入退場管理の効率化などに役立つと期待されている。

概要イメージ案によると、技能労働者に住所、氏名、性別、保有資格、社会保険加入状況、所属企業などを必須情報として登録してもらい、現場情報と就業情報をひも付けした形で一連の情報をデータベースに集約する。登録された情報の閲覧には制限を設けることになっている。

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