2015/12/15 「歩切り」ほぼ根絶/11月時点で実施は3団体に/国交省・総務省、端数処理が焦点に

【建設工業新聞 12月 15日 1面記事掲載】

国土交通、総務両省は、公共工事の入札で予定価格を設計金額から根拠なく減額する「歩切り」を見直す方針を示していない自治体が11月1日時点で全国で3町村(端数処理を除く)となったことを明らかにした。今年1月時点では459団体が「慣例」や「財政健全化」を理由に歩切りを実施していたが、ほぼ根絶された形だ。

両省は7月時点で歩切りを実施していた50団体に対し、都道府県を通じて個別の理由聴取を実施した。その結果、32団体が15年度中に歩切りを廃止すると回答。うち16団体は11月までに廃止済みだった。このほか、8団体は「見直しに向けた対応を検討中」、7団体は「端数程度を減額する方法に変更」と答えた。

「見直しを行う予定がない」と回答したのは関東地方の2団体と中部地方の1団体。国交省は都道府県と調整した上で、年明けから本省職員がこれら3団体を訪問。受注者の適正利潤確保など発注者の責務を規定した公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)を踏まえて歩切りをやめるよう直接働き掛け、本年度内の完全廃止を目指す。

歩切りの根絶が進んだのは、14年9月の改正公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく入札契約適正化指針の改正で、歩切りによる予定価格の引き下げが「違法行為」と明確化されたのが契機。その後、国交省は2度の実態調査を行ったほか、全都道府県と歩切りの根絶に取り組むことを申し合わせた。

今後は広義の歩切りに当たる端数処理への対応に焦点が移る。今年7月時点で端数処理を実施していたのは240団体。予定価格の漏えいを防ぐ狙いから導入している団体が多いが、中には狭義の歩切りよりも切り捨てる金額が多いケースも確認されている。

国交省は「来年度は端数処理の研究をしたい」(入札制度企画指導室)考えで、設計金額の1%を超えるような行き過ぎた端数処理については見直しを求めていく方針だ。

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