2015/12/16 国交省/i-Con実現へ始動/有識者委初会合、全プロセス3次元化

【建設工業新聞 12月 16日 1面記事掲載】

国土交通省は15日、ICT(情報通信技術)を使って直轄事業の全プロセスに3次元データを活用する「i-Construction」で、基本方針を議論する有識者委員会(委員長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)の初会合を省内で開いた。建設現場の抜本的な生産性向上を図り、今後10年で本格化する労働者減少に備えるだけでなく、企業の経営環境と労働者の賃金改善、休暇の確保、安全性の向上、スマートな就業環境を同時に実現する新政策の検討が始動した。

現場視察を含め来年3月まで毎月1回ずつ会合を開き、本年度末に報告書をまとめる。国交省は来年度から直轄現場で順次導入していくスケジュールを描く。

冒頭あいさつした石井啓一国交相は「労働力不足は、イノベーションを喚起し、建設現場が変わるためのチャンスだ。生産性向上の新しい取り組みを進め、魅力ある建設現場への第一歩としたい」と述べた。

初会合で国交省は、想定される課題として▽ICT導入に対する企業への支援▽地方自治体への支援▽現行基準による設計ストックの対応▽成果の配分-などを列挙。さらにICTの活用と、コンクリート工の規格標準化についてそれぞれ取り組み方針案を示した。

方針案によると、ICTの活用では、本年度内にICTに対応した施工管理基準など計18の基準類を整備。16年度から運用する。新たに測量を行う現場から順次導入していくほか、既に現行基準(2次元データ)で設計が完了している事業は、施工者の提案により3次元化を展開する。業界関係者で構成する協議会を立ち上げ、認識の共通化を図る。

規格標準化は、機械式定着工法など鉄筋の配筋に関するガイドラインを16年度、鉄筋や型枠のプレハブ化で接合部の留意点などを示すガイドラインを17年度に整備する。その後、規格の標準化や設計手法のあり方を検討する。業界関係者との協議会で具体的な課題や取り組み方針を詰める。

会合では、委員から「情報技術を活用することで人間が生み出す価値をどう引き出すかも重要だ」(小澤一雅東大大学院教授)、「イノベーションの波の中でこれから新しい技術がどんどん出てくる可能性がある。オープンイノベーションが一つのキーワードになる」(冨山和彦経営共創基盤代表取締役CEO)、「ローカル企業をどうサポートしていくか」(藤沢久美ソフィアバンク代表)といった意見が出た。

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