2016/01/18 国交省/重層下請など構造問題議論開始へ/1月中にも中建審・社整審小委

【建設工業新聞 1月 18日 1面記事掲載】

国土交通省は、中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)と社会資本整備審議会(社整審、同)の下に設置している合同の基本問題小委員会(大森文彦委員長)を月内にも開催する方向で調整に入った。基礎杭工事のデータ流用問題で同省の有識者委員会が昨年末提言した再発防止策に盛り込まれた重層下請構造など建設業の構造的な課題を中心に必要な対策の検討を始めるのが目的。技術者や技能者の処遇、民間工事の請負契約の適正化なども議題になりそうだ。

基本問題小委の開催は、14年1月21日以来ほぼ2年ぶりとなる。前回の会合では、インフラの品質確保と整備の担い手確保について「当面講ずべき施策の取りまとめ」を行い、その年の通常国会での「担い手3法」(改正公共工事品質確保促進法、改正建設業法、改正公共工事入札契約適正化法)の成立、「解体工事」を29番目の建設業許可業種区分として新設することにつながった。

月内にも再開する委員会では、基礎杭工事問題で有識者委が昨年12月25日に提言した再発防止策を踏まえ、▽元請・下請の責任・役割の明確化と重層構造の改善▽技術者や技能労働者の処遇・意欲と資質の向上▽民間工事における役割・責任の明確化と連携強化-を柱に議論が行われる見通しだ。

このうち、重層構造の改善について有識者委の提言は、元請の統括的な管理責任のあり方、元請の監理技術者と下請の主任技術者それぞれの施工管理上の役割の明確化、下請の主任技術者の適正配置のあり方、実質的に施工に携わらない企業の施工体制からの排除といった内容を具体的な検討項目として列挙。実行可能な施策から順次実施していくよう求めている。

石井啓一国交相は15日の閣議後の記者会見で、基礎杭工事問題に関わった企業が建設業法に違反したとして、13日付で監督処分を行ったことに言及。その上で、「日本の建設業は、世界に誇れる技術を有している。今回の問題で建設業に対する信頼が揺らいだことは大変残念だ」と指摘し、監督処分に至った調査の中で明らかになった課題の解決に「業界全体で正面から取り組み、信頼回復に努めてほしい」と強調した。

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