2016/01/21 国交省/労務単価、4・9%引き上げ/2月適用、3年連続で前倒し

【建設工業新聞 1月 21日 1面記事掲載】

国土交通省は20日、2月から直轄工事の積算に適用する新たな公共工事設計労務単価を公表した。対象51職種のうち、サンプル不足で未設定となった職種を除く49職種の加重平均単価(日額)は1万7704円。単純平均で比べると、現行単価より4・9%の上昇となる。通常4月に改定する単価の前倒し適用は3年連続で、公共事業の執行に万全を期すのが狙い。一部で入札不調が発生している東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)は全国平均に上乗せし1万9457円(7・8%上昇)とした。

1997年度をピークに下落を続けた単価は、11、12年度に2年連続で底値が続いた後、13年4月適用の単価が全国平均で15・1%上昇(震災の被災3県は21・0%上昇)と過去最高の上げ幅となった。実勢価格を反映させたのに加え、技能労働者の社会保険加入を徹底するため、法定福利費相当額を加味する形での改定となった。それ以降、今回も含めて同様の方法で単価を決めている。97年度単価と比べると、今回で92・5%まで値を戻したことになる。

上昇に転じる前の12年度単価と比較した上昇率は、全国平均が34・7%、被災3県平均が50・3%となっている。

地域別では、首都圏や近畿圏など都市部の上昇率が低い一方、地方部で上昇幅が大きくなった。国交省は「賃金上昇の動きが(地方にも)浸透してきたことが背景にある」(労働資材対策室)とみている。

職種別の上昇率は、とび工が5・9%、鉄筋工が6・1%、型枠工が6・0%と躯体系職種が全職種平均を上回る上昇率となっている。

被災3県では、13年4月以来、一律5%上乗せする形で単価を設定することで、円滑な事業執行に役立てている。今回の改定値を3県別にみると、岩手が7・8%高い1万9211円、宮城が7・7%高い2万0140円、福島が7・8%高い1万8803円。

新単価を適用するのは、2月1日以降に入札締め切り日を迎える工事。それ以前に旧単価で落札者が決まり、請負契約を結ぶ前の案件は、新単価に入れ替えて契約することができる従来と同様の特例措置を講じる。

国交省は、実勢を反映させた新単価を機動的に取り入れることで経済の好循環につなげたいとして、地方自治体なども発注工事に迅速に適用するよう要請。建設業団体には新単価を踏まえた技能労働者への適正な賃金支払いを要請することを検討している。

サンプル不足で単価を設定しなかったのは、屋根ふき工と建築ブロック工の2職種。

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