2016/03/04 国交省/施工能力評価型で手持ち工事量評価/15年度内に指針改正、発注者の選択制に

【建設工業新聞 3月 4日 1面記事掲載】

国土交通省は、施工能力評価型総合評価方式の入札に、手持ち工事量の評価を導入する。直轄工事を対象にした総合評価方式の運用ガイドラインを本年度内に見直し、現在は段階的選抜や総合評価で行っていない手持ち工事量の評価を発注者が選択できるようにする。受注量の急増によって、企業のバックアップ体制や技術者の体制がぜい弱になる可能性があることを踏まえた措置。評価には、過去数年の最大同時稼働件数の平均と契約時点の手持ち工事件数から算出した比率を用いる。

ガイドラインに示す施工能力評価型の競争参加資格要件と総合評価項目案の一覧には、評価項目がそれぞれ「必須(◯)」「選択(△)」「非設定(×)」の3種類で示されている。手持ち工事量は、I型、II型ともに入り口の参加要件で評価項目として選択できる「△」となっているが、I型で実施している段階的選抜や総合評価の段階では評価を行わない「×」としている。

ガイドラインの改正では、手持ち工事量を評価項目に選択できる「△」にすることを想定。現在は手持ち工事量が「その他」の評価項目とされているが、一覧表の位置付けはそのままで手持ち工事量を選択できるように改めるか、別のカテゴリーに移して反映させるかは検討中という。

手持ち工事量比率は例えば、過去数年の最大同時稼働件数の平均が3件で、契約時点の手持ち工事が2件の場合は0・67となる。

1日に開いた「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)で国交省は、「手持ち工事が急激に増えると構造的に手薄になるのではないか」(池田豊人官房技術審議官)との仮説を基に、成績評定との関係を分析した結果を提示した。

13年度の直轄工事で手持ち工事量比率と工事成績評定点を比較すると、「0・5以下」の平均値が77・8点、「0・5超過1以下」が77・7点、「1超1・5以下」が77・3点、「1・5超」が76・6点で、手持ち工事量が多いほど成績低下の傾向があることが分かった。この結果を踏まえ、ガイドライン改正で各地方整備局の判断で手持ち工事量を評価できるようにする方針を示した。

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