2016/03/09 国交省/発注関係事務、16年夏に統一指標/重点項目に予定価格・設計変更・平準化

【建設工業新聞 3月 9日 1面記事掲載】

国土交通省は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針で示された発注関係事務のうち、「予定価格の適正な設定」「適切な設計変更」「発注や施工時期の平準化」の3重点項目を中心に、統一的な指標を今夏をめどに定める。発注体制に応じて目安となる水準を示し、市町村を含めたすべての公共発注者が現状を客観的・相対的に評価できるようにする。設定された水準に届いていない発注者の改善意識を喚起して底上げを図る。

統一指標のイメージを3重点項目ごとに見ると、適正な予定価格の設定では、最新の積算基準の適用状況や基準対象外の場合の見積もりの活用状況、単価の更新頻度などを指標として想定。適切な設計変更では、改正公共工事品確法を踏まえた設計変更ガイドラインの策定・活用状況。発注や施工時期の平準化では、年度を通した繁忙月と閑散月の工事件数の比で示す平準化率を挙げた。

重点項目以外では、低入札価格調査基準額や最低制限価格の設定・活用状況、工事の性格などに応じた入札契約方式の選択・活用のためのガイドライン策定や総合評価方式の導入状況、受発注者の情報共有や協議の迅速化でワンデーレスポンスや3者会議の導入状況などを想定している。

これらを各発注者が自己評価したり、発注体制に応じて設定された水準に基づく目標を設定したりできるようにする。

国交省は、これらの統一的な指標案を8日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)に提示した。今後、各ブロックの地域発注者協議会や、5月にも設置する全国レベルの連絡調整の場で議論した上で、今夏をめどに全地域の発注者協議会で決定。評価結果の分析・公表や目標設定など指標の活用方法も検討する。

同日の懇談会では、各発注者協議会を通じて、全国の自治体から発注関係事務に関する事例を収集した結果も報告。983事例が集まり、今後これらをベストプラクティスとして4月に予定している運用指針の解説資料の改定に盛り込むほか、国交省のホームページでも紹介する。

収集事例には、市町村レベルでも適切に設計変更を行ったり、独自の設計書チェックリストを作成して予定価格設定に役立てたりしている例があった。工事検査業務などを民間に委託することで発注の円滑化や品質確保に役立てている事例も寄せられた。

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