2016/03/23 国交省、総務省/自治体にダンピング対策強化要請/低入札基準見直しを

【建設工業新聞 3月 23日 1面記事掲載】

国土交通、総務両省は、地方自治体に発注工事でのダンピング対策の強化を文書で要請した。低入札価格調査基準に関する中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルと国土交通省の基準が見直されたのを受け、低入札価格調査制度や最低制限価格制度の適切な活用を徹底することで、ダンピング受注を排除するようあらためて求めた。調査基準価格や最低制限価格の事前公表はくじ引きによる落札の増加を招いているとして、契約締結後の公表に切り替えることも要請した。

「低入札価格調査における基準価格の見直し等について」と題した今回の要請文書は18日付で各都道府県知事と政令市長、各議会議長に送付した。各省庁、独立行政法人、特殊法人、建設業105団体にも事務連絡で周知を図った。

中央公契連モデルと国交省基準の見直しでは、低入札調査の基準価格の算出で、現場管理費について、品質確保の観点から現場で必要とされる技術者の費用を計上することとし、算入率を従来の「0・8」から「0・9」に引き上げた。国交省は、4月1日以降に入札公告を行う工事から新基準を適用する。

これを踏まえた今回の要請では、繰り返し要請してきた低入札調査の基準価格や最低制限価格の算定式を適切に見直すことをあらためて周知。こうしたダンピング対策が未導入の自治体(14年4月1日時点で200団体)には、早急に制度導入に向けた検討を行うよう求めた。

13年度に実施した中央公契連モデルと国交省基準の見直しを踏まえた都道府県の対応状況は、低入札調査基準で45団体、最低制限価格で38団体がモデルと同等かそれ以上の基準を設定しており、今回も前回同様の動きがあるとみられる。市区町村を含めた適切な対応が期待される。

調査基準価格や最低制限価格の事前公表については、近傍価格への応札の誘導により、同額応札者のくじ引きによる落札の増加を招いているとされる。要請文書では、適切な積算を行わずに入札を行った建設業者が受注するなど、技術力・経営力による競争を損ねる弊害が生じているとして、事前公表の取りやめを求めた。予定価格の事前公表も同様の弊害が生じかねないとして、適否を検討し、対応するよう要請した。

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