2016/04/13 i-Con委/生産性向上策で報告書/先行3施策で生産性革命実現、国交相に提出

【建設工業新聞 4月 13日 1面記事掲載】

国土交通省が設置したi-Construction委員会(委員長・小宮山宏三菱総合研究所理事長)は、建設現場の生産性向上策について報告書をまとめた。16年度から現場の全プロセスにICT(情報通信技術)を取り入れたICT土工など三つの「トップランナー施策」に取り組み、現場の生産性革命を実現する。ICTやIoT(モノのインターネット)の活用で働き方も変わり、女性や高齢者の活躍の機会が増えるとしている。

11日に小宮山委員長が石井啓一国交相に報告書を提出した。

報告書では、▽ICTの全面的な活用(ICT土工)▽全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化など)▽施工時期の平準化-をトップランナー施策に設定。調査・測量、設計・施工、検査、維持管理・更新といった建設生産プロセスにICTを全面導入する取り組みを土工で先行的に進め、得られた知見を生かしてすべての現場に浸透させるとした。

生産性向上によって企業の経営環境の改善、現場で働く人たちの賃金水準の向上、安定した休暇の取得、安全な現場の実現を目指すとした。i-Construction推進に向け、国の推進体制の整備や官民連携コンソーシアムの設立、海外展開などについても提案している。

報告書を受け取った石井国交相は「少子高齢化というピンチの中、生産性革命により経済成長のチャンスにしていきたい。働き方を変えていくことが大きい」と強調。16年度から土工事にICTを導入するとともに、新たな基準類づくりを進める方針を示した。

小宮山委員長は検討結果を踏まえ、「i-Constructionの推進によって、膨大なインフラのメンテナンスなどできることが増える。今まで建設現場には少なかった女性や高齢者が活躍できる機会もますます拡大するだろう」との見方を示した。

田中里沙委員(宣伝会議取締役副社長兼編集室長)は「(現場視察で)女性に縁のない職場というイメージが変わった。ツールの導入で安全に効率的でクリエーティブな仕事ができる」とi-Constructionに期待を寄せた。

ICT建機でのり面整形を行った未経験オペレーターの藤田里翠さんと山口秋子さんも同席。藤田さんは「建機に図面がインプットされており、作業に安心感があった」、山口さんは「思い通りの形になり、楽しく作業ができた。ICTを使わないオペレーターの技術力の高さを実感した」とそれぞれ感想を述べた。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る