2016/06/10 国交省/施工管理技術検定見直し案/2級学科試験は年2回、「士補」制度創設も

【建設工業新聞 6月 10日 1面記事掲載】

国土交通省は、施工管理に関する国家資格を取得する技術検定の見直し案を固めた。若年層の受験者が多い2級学科試験を現在の年1回から2回に増やし、受験機会を拡大する。2級学科試験で行われている早期受験(前倒し)を1級学科試験にも導入する方向。学科試験の合格者に新たな名称「士補」を付与する案も盛り込んだ。受験機会の拡大や受験要件の緩和で若い受験者を増やし、建設業界への若手の入職促進と定着につなげる。=2面に関連記事

見直し案は、9日に東京都内で開かれた中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)と社会資本整備審議会(社整審、同)合同の基本問題小委員会(大森文彦委員長)に提示した。

建設業法に基づく技術検定は、監理技術者や主任技術者になれる国家資格「施工管理技士」を取得する試験。土木、建築、管工事、電気工事、建設機械、造園の6種目それぞれに1級、2級があり、学科試験と実地試験で構成する。最近は受験者数が減少しており、受験者・合格者の平均年齢も上昇傾向にあるという。

国交省は建設業界への若手の入職促進と定着を図るため、求める技術力の水準は維持しつつ、若年層への受験機会の拡大や受験要件の緩和について検討してきた。

見直し案では、担い手確保の観点から若年層の受験者が多く、高校在学中の合格者の増加が期待できる「2級学科試験」の回数を年2回に増やす。対象とする種目などは引き続き検討する。

実務経験がなくても2級学科試験を受験できる早期受験の合格者は、その後の2級実地や1級学科の試験を早く受け、合格率も高い傾向にある。そこで1級学科試験についても早期受験を導入する。具体的な受験要件や導入時期は今後詰める。

入職者の確保や資格取得の意識を醸成するため、学科試験の合格者に対して新しい名称の「士補」を付与する。既に技術士や測量士、土木鋼構造物診断士、建築積算士などの資格制度には士補の仕組みが導入されている。施工管理技士の士補の位置付けを明確化し、詳細な制度設計を進める。

政府が2日に閣議決定した17年度予算編成方針「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太の方針)」には現場の担い手確保のため施工管理技術に関する公的資格試験を年2回にするなど受験機会の拡充を検討することが明記された。

国交省はこれまでも受験機会の拡大などに取り組んでおり、16年度2級学科試験から受験年齢を大幅に引き下げた。これまで工業高校の指定学科で学ぶ3年生からの受験だったが、工業高校生、普通高校生に限らず高校2年に相当する17歳以上であれば受験可能とした。この結果、約450人の17歳が受験を申し込み、高校生全体の申込者数が15年度に比べて約25%増加している。

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