2016/06/10 国交省/監理・主任技術者職務、運用手引で明確化/工場製品の品質管理にも責任

【建設工業新聞 6月 10日 1面記事掲載】

国土交通省は中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)と社会資本整備審議会(社整審、同)合同の基本問題小委員会(大森文彦委員長)が9日開いた会合で、検討課題の「監理技術者などの職務(役割)の明確化および適正な配置のあり方」について方向性を示した。建設業法上、監理技術者と主任技術者の職務は共通で、元・下請の技術者の役割の違いが明確になっていない。国交省は、監理技術者制度運用マニュアルで技術者の業務内容に応じて職務(役割)を書き分ける案を示した。=2面に関連記事

具体的にはすべての主任技術者を、「全体の総括的施工管理」(元請の監理技術者など=タイプA)と「請負部分の施工管理」(下請の主任技術者など=タイプB)に2分類。複数工種をマネジメントする下請の主任技術者はタイプAと見なす。会合で委員からは「元請と下請とでは立場や責任が違う。複数工種のマネジメントを行う下請の技術者はほかのタイプにし、3種類にするべきだ」などの意見が出た。

工場で加工・組み立て・製造する製品は建設業法の規定が適用されない。国交省は日本工業規格(JIS)など認証制度のない工場製品を対象に、監理技術者による品質管理の役割(職務)を提示。請負契約か売買契約(購入)かを問わず建設工事の目的物の一部を構成する工場製品の品質に関する責任は、製造会社だけでなく、工場に注文した下請(または元請)や、上位の下請・元請にも生じるとした。

このため主任技術者などは、主要工程の立ち会い確認などによる品質管理が求められる。一方、製造会社に対しては建設業法で一定の制度的な関与を設けることを検討する。委員からは「工場製品の品質管理や責任について監理技術者制度運用マニュアルに掲載してほしい」「メーカー責任についても検討してほしい」などの意見が出た。

技術者配置については、大規模工事で複数の技術者が置かれる実態を踏まえ、監理技術者制度運用マニュアルに監理技術者の役割を補佐的に分担する技術者を積極的に配置するよう記載すべきだとし、その役割や活用方法を引き続き検討。全体を総括する監理技術者は1人としておくべきだとの考えを示した。

現行法では請負金額が3500万円(建築一式は7000万円)以上の公共性のある重要な建設工事には監理・主任技術者の専任配置が必要。専任要件の緩和要望を受け国交省は、専任の判断について▽現場での施工にかかる費用のみ▽月当たりの金額▽発注者の難易度評価-の3案を提示した上で、継続検討課題とした。技術者の効率活用のため一定の要件の下で非専任期間に他の専任工事に従事できる仕組みも提案した。

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