2016/06/13 社保未加入-全都道府県が排除策/「加入業者に限定」、23団体は下請も対象/国交省

【建設工業新聞 6月 13日 1面記事掲載】

すべての都道府県が建設業の社会保険未加入対策に取り組んでいることが、国土交通省の調査で分かった。5月時点で、全都道府県が工事の元請業者を社会保険加入業者に限定する取り組みを実施。うち23団体は下請も加入業者に限定していた。国交省は未加入の元請・1次下請業者を直轄工事から排除しており、こうした対策を都道府県にも要請。さらに管内の市区町村の未加入対策を支援するよう求めるなどし、発注機関での取り組みを強化していく。

国交、総務、財務の3省が公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づき実施した「入札契約適正化法等に基づく実施状況調査」によると、15年3月時点では、都道府県の9団体が元請業者に対して社会保険未加入対策を実施していなかった。

国交省が5月に都道府県を対象に実施した調査結果を見ると、元請業者を社会保険加入業者に限定する取り組み(複数回答可)について、42団体が「定期の競争入札参加資格審査申請で限定」、8団体が「一定金額以上の建設工事の入札参加条件で限定」と回答。すべての都道府県が未加入対策に取り組んでいることが判明した。

ただ11団体では、未加入が発覚した際に建設業許可行政庁などに通報する体制がなかった。

未加入の下請業者の排除に取り組んでいた23団体のうち21団体は、すべての工事または一定金額以上の工事を対象に、1次またはすべての次数で未加入業者との下請契約を禁止。違反が発覚した場合は、元請業者に下請業者への加入指導を要請するだけでなく、制裁金の徴収、指名停止、工事施工成績評定での減点などの措置を講じている団体もあった。

このほか、「すべての建設工事を対象にすべての次数の下請業者の加入状況を確認。元請業者には未加入業者を下請負者にしないよう努めることの誓約書を求める」といった独自の取り組みもあった。

下請業者の未加入対策については、「直ちに排除することは事業の担い手を失うことにもなりかねない」と課題を指摘する声もあり、「特殊な技術や機器、設備などを必要とする工事でこれらを有する業者と下請契約が結べず、契約目的の達成が困難になることを懸念」などの意見も寄せられた。

国交省は社会保険加入の目標を「17年度をめどに企業単位で許可業者100%、労働者単位で製造業並み」と設定。期限まで1年を切り、加入率の低い2次以下の下請業者に対する取り組みを柱に未加入対策を強化している。

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