2016/06/15 公共工事設計変更指針-全都道府県で策定へ/周知と実効性が課題/国交省調べ

【建設工業新聞 6月 15日 1面記事掲載】

すべての都道府県が公共工事の適切な設計変更に関するガイドラインを策定することが、国土交通省の調査で分かった。5月時点で43団体が策定を完了し、残る4団体も策定に向けた取り組みを行っている。設計変更に関する業務の円滑化を図るため、受発注者双方へのガイドラインの周知活動も進んでいる。ただ、現場ではガイドラインが活用できていないとの指摘もあり、今後は実効性をいかに高めていくかが課題となりそうだ。

設計変更ガイドラインの策定や改定は、適切な設計変更などを求めた改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)とその運用指針を踏まえた措置。国交省では、全地方整備局と北海道開発局、沖縄総合事務局で15年9月にガイドラインの改定がすべて完了した。

国交、総務、財務の3省が公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づき実施した「入札契約適正化法等に基づく実施状況調査」によると、15年3月時点では、都道府県のうちの15団体が設計変更ガイドラインを策定していなかった。

国交省が今年5月に都道府県を対象に実施した調査結果によると、43団体が設計変更ガイドラインを策定済みで、4団体が策定を進めていた。国交省の直轄工事向け設計変更ガイドラインを参考にしている自治体が多いという。

38団体ではガイドラインの策定や活用について管内の市区町村を支援。具体的には、策定したガイドラインを参考送付したり、市町村職員を対象とした説明会・研修会を開催したりしている。

都道府県では適切な設計変更を推進するため、監督職員などに対する研修や、職員・業界団体向けの説明会などを通じて周知を図っている。受注者からの設計変更に関する相談や苦情を受け付ける窓口を設置した団体もあった。

一方で、設計変更ガイドラインを策定しているものの、「現場の担当者レベルではうまく活用できていない」との指摘もあった。技術職員不足によって設計変更に充てる時間が厳しい、受発注者とも周知不足で変更契約でトラブルが生じているなどの課題も浮き彫りになっている。

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