2016/06/20 国交省/全整備局に余裕期間活用要請/施工平準化へ、フレックス方式の運用明確化

【建設工業新聞 6月 20日 1面記事掲載】

国土交通省は17日、全地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局に対し、発注工事での余裕期間制度の活用を要請した。請負契約締結から工事着手までの間に建設資材や労働者の確保に充てる「余裕期間」を設ける制度を積極活用し、施工時期の平準化につなげてもらう。全体工期内で受注者が工事の開始・終了時期を選択できる「フレックス方式」の運用を明確化し、契約後の工期変更に関する考え方を明示。余裕期間内の監理技術者配置や特記仕様書の記載例なども周知した。

官房技術調査課建設システム管理企画室長名で、各地方整備局技術調査管理官、北海道開発局技術管理企画官、沖縄総合事務局技術企画官に文書(17日付)を送付した。

余裕期間の長さについて国交省は「工期の30%を超えず、かつ、4カ月を超えない範囲」と設定。同制度には、発注者が工事の開始時期を指定する「発注者指定方式」、発注者が示した工事着手期間に受注者が工事の開始時期を設定する「任意着手方式」、「フレックス方式」の3手法を設けている。

今回の通知では、余裕期間を追加した全体工期や、3手法それぞれの余裕期間の設定についてあらためて周知した。中でもフレックス方式の運用を明確化。契約後に受注者が工期変更を希望する場合、当初発注者が示した工事完了期限内であれば、工期変更の理由を明示した書面を発注者に提出し、変更協議を行うとした。一方、工事完了期限を超える工期延長が必要な場合は、従来通り設計変更審査会などで工期延長の必要性を審査した上で判断するとの考え方を示した。

余裕期間内の監理技術者配置についても記載。「監理技術者制度運用マニュアル」に基づき、余裕期間は契約期間内でも工事外のため監理技術者の専任配置が不要になることを明示。3手法それぞれで余裕工期を設定する際の特記仕様書の記載例も添付した。

改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針では、各発注者が適切な工期の設定や発注・施工時期の平準化に努めるよう明記。余裕期間の設定により、受注者に工事着手時期の裁量を付与し、下請業者や技術者・技能者が年間を通じて切れ目なく働けるようにするとしている。

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