2016/07/29 国交省/社保未加入下請指導指針改定/内訳明示見積書を活用、「特段の理由」明確化も

【建設工業新聞 7月 29日 1面記事掲載】

国土交通省は28日、社会保険加入に関する下請指導ガイドラインを改定した。法定福利費を内訳明示した見積書を建設業法に規定する見積もりと位置付け、その提出を従来の元請・1次下請間と同様、1次・2次下請間でも見積もり条件として明示することを記載した。併せて、未加入の作業員が現場に入場できる「特段の理由」について、「施工に必要な特殊な技能を持つ者」などと明確化した。

ガイドラインの改定は、5月に東京都内で開いた国交省と84の関係団体が参画する「社会保険未加入対策推進協議会」(会長・蟹澤宏剛芝浦工業大教授)で、法定福利費の確保に向けた取り組みの強化を申し合わせたことを踏まえて実施。28日付で都道府県・政令市、建設業者団体に改定内容を周知する文書を送った。

国交省は建設業の社会保険加入目標を「17年度をめどに許可業者単位で100%、労働者単位で製造業並み」と設定している。元請企業と下請企業が社会保険加入に向けて負うべき役割や責任を明確にしたガイドラインの内容を一段と強化することで、目標達成に向けた活動につなげる。

改定内容は、法定福利費を内訳明示した見積書の活用を徹底する点が大きなポイント。内訳明示の見積書が建設業法に規定する建設工事の見積もりに該当するとし、見積書の位置付けを明確化した。その上で、1次下請企業が内訳明示の見積書を提出するよう2次下請企業に働き掛けるとともに、提出された見積書を尊重して下請負契約を締結するよう明記した。1次下請企業には、雇用する労働者や2次下請企業の法定福利費を確保することも明示した。

国交省土地・建設産業局建設市場整備課長名で28日に発送した通知には、ガイドラインの取り扱いについても明記。社会保険加入が確認できない作業員の現場入場を認める特段の理由として、▽現場入場時点で60歳以上で厚生年金保険に未加入(雇用保険未加入は該当しない)▽施工に必要な特殊な技能を有し、入場が認められないと工事が困難となる▽社会保険の加入手続き中など今後確実に加入が見込まれる-の3点を示した。ただ、あくまで特例的な対応だとし、元請企業には引き続き加入指導を求めた。

社会保険は就労形態(雇用または請負)などに応じて入るべき保険が異なる。このため、元請企業、下請企業それぞれにガイドラインで示す対応方針の徹底を要請した。

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