2016/09/28 埼玉県/下請重層化抑制へ新施策試行/3次以下活用で理由書提出義務付け

【建設工業新聞 9月 28日 5面記事掲載】

埼玉県は、下請次数の抑制などを目的とした「重層下請改善工事」と呼ぶ取り組みを10月から試行する。3次以下の下請企業を活用する場合に、受注者に理由書の提出を義務付ける。重層下請採用の妥当性を確認することで、実質的に施工に携わらない下請企業を排除し、不要な重層化を避けることが狙いだ。10月1日以降に公告する案件から適用する。

工事費6000万円以上の「土木一式工事」と「とび・土工・コンクリート工事」が対象で、本年度は20件程度に適用する見通し。県によると、京都府や福井県、鳥取県で類似の取り組みがあるという。

対象案件では、可能な限り下請次数の抑制に努めるよう受注者に求める。その上で、3次以下の下請企業を活用する場合には、該当する企業の名称や所在地、作業内容、施工数量などとともに、その下請企業を活用する理由を文書で提出してもらう。実質的に施工に携わらないと思われる下請企業が含まれている場合には、妥当性を確認して改善につなげる。

マルA等級の受注者への適用を想定しているため、6000万円以上の案件を対象としているが、対象工事がない場合でも、各県土整備事務所で最低1件以上実施するとしている。適用案件は「難工事」対象工事への指定も併せて行う。

試行後は、元請企業と下請業者にアンケートを実施し、その後の対応への参考とする。

県は、元請企業と下請企業の適切な役割分担の下で施工体制を構築する際に、重層下請構造には合理的な面もあるという認識だ。ただ、行き過ぎた重層化には、施工責任の不明確化や安全性の低下といった懸念があり、下請次数が下位になるほど労働者の賃金が下落する傾向があることも課題と見ている。

担い手3法が施行され、建設産業の担い手確保・育成の観点から、技能労働者の労働環境を改善する動きが進んでいる状況も踏まえ、重層下請構造の改善に向けた新施策を講じることにした。

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