2016/11/10 国交省/直轄工事請負契約書を改定/受注者からの契約解除に履行保証適用

【建設工業新聞 11月 10日 1面記事掲載】

国土交通省は9日、直轄工事の請負契約書のうち、契約解除の違約金に関する規定を改定した。受注者側からの契約解除について「受注者は請負代金額の10分の1に相当する額を違約金として発注者の指定する期間内に支払わなければならない」と明記。受注者に代わる破産管財人などが契約を解除した場合、従来は発生しなかった違約金が発生することを明確化した。

公共工事の受注者は、会計法などに基づき発注者に契約金額の10分の1以上の契約保証金を納めるか、公共工事前払金保証事業会社や損保会社、銀行などとの履行保証契約の締結が必要になる。従来の契約書では、発注者が受注者に対して契約を解除すると、履行保証契約を結んだ金融機関などから発注者に保証金(違約金)が支払われるが、破産法に基づく契約の解除権を持つ破産管財人が契約を解除する場合は違約金が発生しなかった。

今回の改定では受注者側からの契約解除でも違約金を発注者に支払わなければならないと明記。受注者に代わり、破産法により選任された破産管財人や会社更生法による管財人、民事再生法による再生債務者などからの解除にも適用されるとした。

工事請負契約書のほか、土木設計業務等委託契約書、建築設計業務委託契約書、建築工事監理業務委託契約書、発注者支援業務等委託契約書も同様の改定を行った。将来は公共工事標準請負契約約款を見直すことも検討している。

国交省は9日付で地方整備局の契約担当者に契約書の改定内容を通知。同日以降に契約が締結される案件から適用する。併せて中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)経由で国の発注機関などと、地方公契連を通じて地方自治体と情報を共有。各発注機関に契約書の見直しの検討を呼び掛ける。建設業105団体と日本損害保険協会、全国銀行協会、前払金保証事業会社などにも通知。契約手続きで混乱が生じないよう要請した。

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