2016/11/14 都道府県の社保未加入業者排除、2次以下下請にも拡大/国交省調査

【建設工業新聞 11月 14日 1面記事掲載】

都道府県で発注工事の下請業者に対する社会保険未加入対策の取り組みが広がっていることが、国土交通省の調査で分かった。10月時点で、39団体が1次下請から社会保険未加入業者を排除する取り組みを実施。2次以下の下請にも未加入対応を講じているのは35団体に上ることが今回初めて分かった。同省は都道府県に管内市区町村への取り組み支援を要請。今後、対策が一段と強化されそうだ。

国交省が5月に行った調査によると、すべての都道府県が発注工事の元請業者を社会保険加入業者に限定する取り組みを実施。6月の調査では未加入の1次下請業者を排除する取り組みを26団体が実施済み、12団体が検討中だった。

今回の調査(10月時点)では1次下請に未加入業者が判明した場合、元請業者または1次下請業者に未加入対応を行っているのは39団体。元請業者への対応(複数回答)は、制裁金の請求が12団体、工事成績評定の減点が17団体、指名停止措置が19団体、その他(次回から加入業者と契約するよう要請)が1団体となった。未加入の1次下請業者への対応は、加入指導が32団体、関係部局への通報が27団体だった。

2次以下の下請業者の未加入対策を初めて調査した結果、35団体が元請業者または未加入業者に対策を講じていることを確認した。未加入業者への対応が大半を占め、加入指導が23団体、関係部局への通報が25団体。元請業者への対応では、指導しても加入しない場合に限り指名停止措置を行うのが1団体あった。

国交省は全国8ブロックで開いた16年度上期ブロック監理課長等会議(5月下旬~6月下旬)を通じ、社会保険未加入対策推進で全都道府県と合意。管内の市区町村への支援も求めた。国交、総務両省は6月、自治体に未加入の元請・下請業者を発注工事から排除する措置を講じるよう要請している。

北陸を皮切りに7日に始まった16年度下期ブロック監理課長等会議(25日の北海道・東北ブロックまで)でも社会保険未加入対策を議題に設定。地域の実情に応じて下請業者も含め効果的な取り組みを推進するとともに、市区町村の取り組みに対する助言などの支援に努めるよう提案し、すべての都道府県との申し合わせを目指す。

国交省は社会保険加入の目標を「17年度をめどに許可業者単位で100%、労働者単位で製造業並み」と設定。直轄工事では未加入の元請・1次下請業者を排除しており、現在こうした対策を2次下請以下にも広げることを検討している。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る