2016/11/22 工事平準化-都道府県で普及拡大/繰り越し手続き迅速化や余裕期間設定/国交省調べ

【建設工業新聞 11月 22日 1面記事掲載】

都道府県の工事発注で施工時期を平準化する取り組みが広がっていることが、国土交通省の調査で分かった。10月時点で、年度内に支出が終わらない場合に速やかな繰り越し手続きを行うのは33団体。うち22団体は16年度事業で議会に繰り越し承認を手続き済みまたは手続き中となっている。建設資材や労働者の確保を目的とする余裕期間を設ける団体も増加傾向にある。

国交、総務両省は2月17日付で「施工時期等の平準化に向けた計画的な事業執行について」と題した連名通知を地方自治体に出した。国交省は通達後の実態を把握するため緊急調査を実施。自治体の平準化の取り組みを継続して把握し、拡大を促していくため10月にフォローアップ調査を行った。

当初想定していた工事・業務内容を見直す必要が生じ、年度内に支出が終わらない場合、その段階で速やかに繰り越し手続きする仕組みを活用しているのは、前回調査から4団体増えて33団体となった。このうち16年度事業で、22団体が既に議会で繰り越し承認を手続き済みまたは手続き中と回答した。

改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)で発注者の責務に「適正な工期を設定するよう努めること」と明記されたことが、議会や財政部局に対する繰り越し理由の説明につながっているとの声が多い。

工事の発注手続きを年度当初から開始できるよう、前年度のうちに設計・積算を完了させているとしたのは31団体(2月調査30団体)。さらに3団体が実施を検討していると答えた。

請負契約締結から工事着手までの間に建設資材や労働者の確保に充てる「余裕期間」については、工事開始日を発注者が指定する発注者指定方式を8団体(7団体)が実施し、5団体が実施に向け検討中。工事開始日を受注者が選択できる任意着手方式を19団体(13団体)が実施し、5団体が検討中とした。受注者が工事の開始・終了日を工期内で選択できるフレックス工期は前回と同じく9団体が実施。7団体が検討していると回答した。

発注した年度は支出を伴わないゼロ債務負担行為の活用状況は、単独事業で31団体(30団体)、補助事業で14団体(14団体)、交付金事業で9団体(6団体)。実施を検討しているのは、単独事業で7団体(7団体)、補助事業で9団体(9団体)、交付金事業で23団体(22団体)となった。

国交省は都道府県の平準化に関する先進的取り組みを紹介する事例集を4月に作成。現在、最新事例の収集を進めており年度内にも改訂版をまとめる。市町村の取り組み事例についても把握に努めている。

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