2016/12/05 国交省/社保未加入対策、現場入場規制で再周知/一覧表や一問一答用意

【建設工業新聞 12月 5日 1面記事掲載】

国土交通省は建設業の社会保険未加入対策として取り組む作業員の現場入場規制の取り扱いをあらためて周知する。就労形態などに応じて加入すべき「適切な保険」を一覧表に整理したほか、現場入場の解釈に関する一問一答も用意。未加入作業員が現場に入場できる「特段の理由」などを解説する。全都道府県に設置した社会保険労務士による相談窓口も紹介。適切な保険の加入促進につなげる。

同省土地・建設産業局建設市場整備課が「建設業における社会保険への加入の徹底に係る注意点について」と「全国社会保険労務士会連合会と連携した相談体制について」の二つの文書を5日付で建設業団体と都道府県に送付する。

国交省が策定した「社会保険加入に関する下請指導ガイドライン」には、遅くとも17年度以降は適切な社会保険に加入していることが確認できない作業員については、「元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取り扱いとすべきである」と明記されている。適切な社会保険(雇用、健康、厚生年金の3保険)は就労形態(雇用または請負)などによって異なる。

作業員の入るべき社会保険が就労形態によって一律ではないため、建設現場の事務担当者が、作業員一人一人の入場の可否を判断するのは困難といった声も業界内には少なくない。社会保険加入に対する関心の高まりを受け、作業員の現場入場規制の解釈などをめぐって国会議員から政府への質問主意書の提出が続いていた。

国交省は「17年度をめどに許可業者単位で100%、労働者単位で製造業並み」とする社会保険加入の目標年次まで4カ月を切ったことを踏まえ、あらためて適切な加入の徹底を図ることにした。

ガイドラインに沿った「適切な保険」の範囲を明確化。事業所の形態(法人または個人事業主)、常用労働者の数、就労形態に応じた5ケースについて、加入すべき社会保険を一覧表で整理。これに関する質問と国交省の考え方を一問一答でまとめた。未加入作業員でも現場入場が認められる特段の理由や、60歳以上の作業員の社会保険加入の必要性などに関する考え方も示している。健康保険の適用除外承認を受けて国民健康保険組合に加入する人や、一人親方の扱いについても解説。これまでに作成してきた通知文書や判断事例集の活用を再周知する。

加入徹底に向けた取り組みを一段と強化するため、国交省は7月に全国社会保険労務士会連合会と連携し、専門的な相談体制を充実させていることも周知する。建設会社向け相談窓口をすべての都道府県の社労士会に設置し、社労士が無料で電話相談に応じるほか、建設業者や団体などが開催する安全大会や総会などに社労士を派遣して講演や個別相談に対応することも明記している。

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