2016/12/21 国交省/工事品質確保へ監督方法見直し/17年度にICT導入や非破壊試験試行

【建設工業新聞 12月 20日 1面記事掲載】

国土交通省は工事品質をより確実に確保するため監督方法を見直す。施工状況の確認作業の効率化などを目的に、ICT(情報通信技術)の導入や非破壊試験を活用する試行工事を17年度に実施。不正行為の抑止につながる抜き打ち確認の対象工種も広げる。監督業務を充実させるため、高い技術力を持つ第三者による監督業務も検討する。

国交省は19日に開かれた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)で、監督・検査のあり方について方向性を提示。監督方法の見直しでは、▽ICT・IoT(モノのインターネット)技術の導入▽非破壊試験の活用▽抜き打ち確認の実施-の3点を挙げた。

監督・検査作業にICTを用いる試行工事を17年度に実施する。既製杭工や現場打ち杭工、固結工を対象に、標準高や掘削長さ、位置・間隔、注入量などの施工データの自動計測やクラウド管理を導入し、現場での段階確認を軽減できるかどうかを検証する。試行工事では、受注者の技術提案や技術公募を実施することを検討している。

ICTによる映像記録の活用も試行。矢板工や鋼管井筒基礎工、重要構造物などの寸法、落橋防止装置や既製杭工、固結工などの施工状況をビデオカメラの映像で確認する。不正行為の抑止効果も検証する。

コンクリート構造物の配筋状態の確認に活用している非破壊試験は、精度が向上し、詳細な確認ができるという。そこで16年度中に非破壊検査技術の実証実験(実地試験)を行い、精度を確認。実験結果を基に適用対象を精査した上で17年度に試行工事を開始する。

試行対象の構造物は非破壊検査測定要領の対象工種となっているボックスカルバート、RC橋脚、PC上部工。コンクリート表面から300ミリ程度の配筋状態などを打設後に計測し、現場の段階確認の頻度が軽減できるかどうか検証する。

発注者による抜き打ち確認は、落橋防止装置の溶接状況、地盤改良工事の薬液注入で実施する。効果的な立ち入り確認のタイミング・頻度は各現場の状況に応じて判断。施工時期を確認した上で、受注者に事前通告をせずに現場の施工状況を直接確認する。必要に応じてビデオカメラを活用することも想定している。

次回の懇談会では監督業務のあり方を議論。アウトソーシングを活用した高い技術力の保有者による監督業務の充実について検討する予定だ。

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