2017/02/27 国交省/標準見積書活用状況調査結果/下請への提出指導拡大、社保未加入の排除も浸透

【建設工業新聞 2月 24日 1面記事掲載】

国土交通省は、社会保険加入の原資となる法定福利費を内訳明示した見積書(標準見積書)の活用状況の調査結果をまとめた。すべての契約で下請企業に提出を指導している元請企業が35・5%(15年度29・3%、14年度15・4%)に上昇した。一方、下請従業員が未加入の場合に「未加入のまま現場入場」は16・5%(28・7%、35・7%)と減少。同省は「未加入者の現場入場を認めない下請指導ガイドラインが浸透している」(建設市場整備課)と見ている。

調査は、社会保険未加入対策に関する企業の取り組み状況を把握するのが目的で、14、15年度に続き3回目。対象は、行政や関係機関で組織する社会保険未加入対策推進協議会に参加する建設業団体(74団体)の会員企業。16年12月14日~17年1月17日にインターネットを通じて行い、約3100社が回答した。

標準見積書を、すべてまたは一部の下請契約で提出するよう指導している元請企業は44・7%(15年度40・6%)。内訳明示はしていないが法定福利費を含む見積書を求めた企業の割合を加えると全体の79・9%(75・0%)が法定福利費を見積書に含めるよう指導していた。

一方、下請企業から標準見積書の提出を受けた割合は、「かなりある(8割以上)」が21・9%(14・8%)、「おおむねある(5~8割)」が24・8%(22・5%)で、合わせて半数を占めた。

提出を受けた元請企業の反応(複数回答)は、「全額を支払う契約とした」と答えたのが54・0%(45・9%)、「見積もり総額は減額したが法定福利費は減額しない契約」を行った企業が37・1%(36・7%)で、合計すると91・1%(82・6%)に上った。

未加入下請への対応では、「未加入のまま選定」が12・9%(24・3%)、「未加入の従業員の現場入場を認める」が16・5%(28・7%)と減少した。

下請企業が標準見積書を提出した割合は、「ほとんど提出(8割以上)」が37・3%(26・5%)、「おおむね提出(5~8割)」が20・6%(18・0%)となり、全体の57・9%(44・5%)となった。

標準見積書を下請企業が提出しない理由を聞いたところ、「注文者から提出するよう指示がなかった」が最も多く、「注文者が総価しか見ないなど提出しても意味がないと考えた」「公共工事ではないから」と続いた。

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