国交省/総合評価方式の提出資料簡素化推進/「簡易確認型」活用を拡大

【建設工業新聞 4月 12日 1面記事掲載】

国土交通省は、総合評価方式の入札で応札者に求める提出書類を簡素化する取り組みを進める。17年度の予算執行に当たって事務次官と官房長名で出した指示文書に提出資料の簡素化を明記した。一部の地方整備局で実施している「簡易確認型」を他の地方整備局なども必要に応じて導入するよう要請。発注者・応札者双方の事務作業の負担軽減につなげる。

公共工事では、工種や地域によって参加企業が多くなる入札がある。入札参加者は受注の可能性が低い案件でも技術提案を作成する必要があるなど手間とコストがかかる。一方、発注者側も参加者すべての技術提案を審査しなければならないなど大きな労力を必要とする。

入札参加者と発注者双方の負担軽減を期待して、関東地方整備局は16年度に総合評価方式の入札で簡易確認型を試行した。入札書と共に簡易な技術資料1枚の提出を求め、評価値の上位3者に絞り込んでから詳細な技術資料を提出してもらい、落札者を決定する手法。施工能力評価型II型の入札に適用している。

国交省は16年度第2次補正予算の執行通知(16年10月11日付)に、入札の手続きや審査業務の効率化を図る簡易確認型を明記。提出書類のさらなる簡素化を要請した結果、補正予算で関東と東北の2整備局が合わせて約20件を実施した。

17年度は当初予算の執行から提出資料の簡素化により事務の改善に努めるよう指示。官房長通達には、総合評価方式で施工計画や技術提案を除く評価項目について、「簡易な技術資料により評価値を算出し、上位の者から詳細な技術資料を求めることで提出資料を簡素化できるものとする」と明記した。

関東整備局は受発注者の事務作業量の軽減効果を分析しながら、今後も簡易確認型を継続。手続き期間の見直しや、提出書類の合理化などさらなる負担軽減策も検討する。東北地方整備局は17年度、簡易確認型と、一部工事の積算を簡略化する簡易積算方式を合わせて60件程度試行する方針を示している。

北海道開発局は17年度に簡易確認型を10件程度に適用する。中国地方整備局では4月から適用した入札契約制度に施工能力簡易確認型を位置付けた。九州地方整備局では一般土木C等級向けの施工能力評価II型の入札を対象に、簡易確認型を各事務所1件以上試行する。中部地方整備局も適用を検討しているなど、今後は簡易確認型の活用が広がりそうだ。

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