2017/05/10 国交省/社保加入、前向き企業にインセンティブ付与へ/都道府県単位で行動基準策定

【建設工業新聞 5月 10日 1面記事掲載】

国土交通省は建設業の社会保険加入促進策の一環として、加入に積極的に取り組む企業にインセンティブを付与する。都道府県単位で加入推進の会議を順次開き、企業が社会保険加入に積極的に取り組むための行動基準を策定。基準を順守する企業に優良企業マークなどを付与し、受注機会の拡大につなげてもらう。行動基準の内容とインセンティブのあり方を今後詰める。優良企業を増やす活動も各地域で展開する。 =2面に関連記事

8日に開かれた建設業社会保険推進連絡協議会(会長・蟹澤宏剛芝浦工大教授)で、国交省が17年度の加入対策の取り組み方針を提示。この中の「地域における優良な取り組みの推進」として、企業に社会保険加入への具体的な行動を促す取り組みを実施する。

都道府県単位で「社会保険加入推進会議」を順次立ち上げる。国交省は「地方整備局に動いてもらい、今夏から秋にかけて先行実施する地域をいくつか作りたい」(土地・建設産業局建設市場整備課)としており、地域でのきめ細かな取り組みを定着させていく考えだ。

推進会議では、社会保険加入に積極的に取り組む企業が守るべき行動基準を採択する。行動基準は、元請企業に対しては▽標準見積書の活用▽法定福利費の支払い▽下請企業の加入確認・指導▽作業員の加入確認・指導▽法令上義務のある保険の適切な確認-などを想定。下請企業に対しては▽標準見積書の活用▽ダンピング受注をしない▽雇用と請負の区別▽労働者の保険加入徹底-などをイメージしている。

基準を順守する企業へのインセンティブのあり方も検討。優良企業マークの付与のほか、会議への参画を通じて優良企業同士のネットワークを構築し、受注機会を広げてもらう。こうした動きが各地域で浸透していけば、受発注者間や元・下請間のフェアトレード(公正取引)につながっていく可能性がある。

このほか行動基準の普及状況に応じ、処遇改善や人材育成と社会保険加入をセットにした形で、経営事項審査(経審)の評価を加点することなども検討していく予定だ。一方、未加入企業に対する減点については、さらなる厳格化が必要としている。

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