2017/11/14 国交省/キャリアアップシステム活用し技能者能力評価、検討会が初会合/四つの論点

【建設工業新聞 11月 14日 2面記事掲載】

国土交通省は建設キャリアアップシステムを活用した技能者の能力評価のあり方について検討を始めた。13日に学識者や建設業団体などでつくる検討会の初会合を開催。国内外の技能者評価制度を整理した上で、▽客観性の確保▽レベル分け▽コスト▽業種間のバランス-の四つの論点を提示。技能者の評価が専門工事企業の評価につながる仕組みを見据えて検討し、年度内に中間取りまとめを行う。

設置したのは「建設技能者の能力評価のあり方に関する検討会」。学識者、元請建設業者団体、専門工事業団体などで構成し、厚生労働省などがオブザーバーとして参画。座長には蟹澤宏剛芝浦工大建築学部建築学科教授が就いた。

初会合で国交省は、技能者一人一人にIDカードを交付し、就業履歴や保有資格、研修受講実績などを業界統一ルールで蓄積・管理する建設キャリアアップシステムをインフラとして活用。技能者の能力評価基準と専門工事業者の評価制度を連動させ、良い職人を多く抱える企業が高く評価される仕組みを構築する方針を示した。

技能者の能力評価を検討するに当たって、評価の客観性確保については、まずは職種ごとに技能者のスキルを測れる客観的な物差しのような評価制度を目指すとの方向性を示した。

技能者のレベル分けは、厚労省の職業能力評価基準や、建設産業担い手確保・育成コンソーシアム(事務局=建設業振興基金)の職業能力基準を踏まえ、4段階をベースにする考えを提示。各団体にそれぞれの職種で4段階にレベル分けした場合の保有資格や経験年数などを提案してもらうよう要請した。

各業種の特殊性を踏まえつつ、業種によって技能レベルに大きな差が生じない制度を検討。業種間のバランスを欠いた評価制度とならないようにし、業界団体の関与のあり方についても議論する。評価そのものに大きなコスト(費用・時間・手間)がかからないようにする観点も示した。

委員からは「既存資格を生かしたレベル分けが現実的」「多能工の評価をどうするか」などの意見が出た。

国交省の鈴木英二郎官房審議官(土地・建設産業局担当)は「すべての技能者がIDカードを持ち、すべての現場でシステムを運用するにはメリットが大事。蓄積された情報をいかに活用し、個々の技能者の評価をどう適正に行っていくかを示さなければいけない。さらに専門工事企業の施工能力の見える化とも連動させ、良い職人を育て雇用する企業が選ばれる好循環を生み出していきたい」とし活発な議論を求めた。

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