2020/01/31 品確法運用指針ー省庁連絡会議が申し合わせ/災害時緊急対応など4項目で追加・強化
【建設工業新聞 1月 31日 1面記事掲載】
公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議が30日に開かれ、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針を申し合わせた。国や地方自治体などの発注関係事務の共通ルールとなる。改正法を踏まえ▽災害時の緊急対応の充実強化▽働き方改革への対応▽生産性向上への取り組み▽調査・設計の品質確保-の4点に関する事項を追加・強化した。
全国的に災害が頻発する中、迅速で円滑な復旧・復興のため、災害時の緊急対応に関する内容を充実・強化した。新たな章として「災害時における対応」を位置付けた。改正法の趣旨に沿い公共工事関連の測量、調査、設計を運用指針の対象として明確化した。
働き方改革や生産性向上の取り組みに関連する事項を充実させた。適正な工期・履行期限の設定や、計画的な発注や施工時期・履行期限の平準化などの取り組みを強化。BIM/CIMや3Dデータの積極活用などを盛り込んだ。
政府は改正内容の周知とともに、3月中に運用指針の解説資料を公表。4月から新指針による発注事務を開始する。
《公共工事品確法に基づく「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」の改正概要》
I.運用指針の位置付け
2019年6月に公共工事品確法が改正され、災害時の緊急対応の充実強化や働き方改革への対応、情報通信技術(ICT)の活用等による生産性向上を図るための規定が盛り込まれたとともに、「公共工事に関する調査等」が明確に定義され、法律に広く位置付けられたことから、本指針を見直した。
II.発注関係事務の適切な実施のために取り組むべき事項
1 工事
1-1 工事発注準備段階
□適正な工期設定〈取組強化〉
工期の設定に当たっては、工事の内容、規模、方法、施工体制、地域の実情等を踏まえた施工に必要な日数のほか、工事に従事する者の休日、工事の実施に必要な準備・後片付け期間、天候その他のやむを得ない事由により工事の実施が困難であると見込まれる日数等を考慮する。また、週休2日を実施する工事については、その分の日数を適正に考慮する。さらに、労働力や資材・機材等の確保のため、実工期を柔軟に設定できる余裕期間制度の活用といった契約上の工夫を行うよう努める。
□計画的な発注や施工時期の平準化〈新規・取組強化〉
工事の施工時期の平準化は、繁忙期と閑散期の工事量の差を少なくし、年間を通して工事量を安定させ、労働者の処遇改善や資材・機材等の効率的な活用促進に寄与するものであるため、発注者は積極的に計画的な発注や施工時期の平準化のための取組を実施する。
(具体的には、)中長期的な工事の発注見通しについて(略)、地域ブロック単位等で統合して公表する。また、繰越明許費・債務負担行為の活用や入札公告の前倒しなどの取組により施工時期の平準化に取り組む。
1-2 工事入札契約段階
□競争参加者の施工能力の適切な評価項目の設定等〈取組強化〉
必要に応じて豊富な実績を有していない若手技術者や、女性技術者などの登用、民間発注工事や海外での施工経験を有する技術者の活用も考慮して、施工実績の代わりに施工計画を評価するほか、主任技術者又は監理技術者以外の技術者の一定期間の配置や企業によるバックアップ体制、災害時の活動実績を評価するなど、適切な評価項目の設定に努める。
1-3 工事施工段階
□施工条件の変化等に応じた適切な設計変更〈取組強化〉
施工条件を適切に設計図書に明示し、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合、設計図書に明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合、その他受注者の責によらない事由が生じた場合において、必要と認められるときは、設計図書の変更及びこれに伴って必要となる請負代金の額や工期の変更を適切に行う。
その際、工期が翌年度にわたることとなったときは、繰越明許費を活用する。
□工事中の施工状況の確認等〈取組強化〉
建設業法において、元請負人は下請代金のうち労務費相当については現金で支払うよう適切に配慮することが規定されたことや、品確法において、公共工事等に従事する者の賃金や適正な労働時間の確保等、下請業者を含め適正な労働環境の確保を促進することが規定されたことを踏まえ、発注者は、下請業者への賃金の支払いや適正な労働時間確保に関し、その実態を把握するよう努める。
□受注者との情報共有や協議の迅速化等〈取組強化〉
工事に関する情報の集約化・可視化を図るため、BIM/CIMや3次元データを積極的に活用するとともに、さらに情報を発注者と受注者双方の関係者で共有できるよう、情報共有システム等の活用の推進に努める。また、材料検査や出来形確認などの現場臨場を要する検査については、ウェアラブルカメラ等を活用し、発注者と受注者双方の省力化の積極的な推進に努め、情報共有が可能となる環境整備を行う。
1-4 工事完成後
□工事の目的物の適切な維持管理〈新規〉
工事の目的物(橋梁、トンネル、河川堤防、公共建築物、港湾施設等〈既に完成しているものを含む〉)を管理する者は、その品質が将来にわたり確保されるよう、適切に点検、診断、維持、修繕等を実施し、その際3次元データ等、ICTの活用に努めるとともに、工事の目的物の維持管理に係る計画策定、業務・工事発注準備等の各段階において、発注関係事務を適切に実施するよう努める。また、権限代行による事業の整備など、工事の発注者と工事の目的物を管理する者が異なる場合においても同様に、工事の目的物を管理する者は発注関係事務を適切に実施するよう努める。
1-5 その他〈取組強化〉
発注者及び競争参加者双方の負担を軽減し、競争性を高める観点から、入札及び契約に関するICTの活用の推進、書類・図面等の簡素化及び統一化を図るとともに、競争参加者の資格審査などの手続の統一化に努める。
2 測量、調査及び設計
2-1 業務発注準備段階
□適正な履行期間の設定〈新規〉
履行期間の設定に当たっては、業務の内容や、規模、方法、地域の実情等を踏まえた業務の履行に必要な日数のほか、必要に応じて準備期間、照査期間や週休2日を前提とした業務に従事する者の休日、天候その他のやむを得ない事由により業務の履行が困難であると見込まれる日数や関連する別途発注業務の進捗(しんちょく)等を考慮する。
□計画的な発注や履行期間の平準化〈新規〉
業務の履行期間の平準化は、繁忙期と閑散期の業務量の差を少なくし、年度末の業務の集中を回避させることに寄与するものであるため、発注者は積極的に計画的な発注や履行期間の平準化に取り組む。
(具体的には、)工事に係る業務の中長期的な発注見通しについて(略)、地域ブロック単位等で統合して公表するよう努める。また、繰越明許費・債務負担行為の活用や入札公告の前倒しなどの取組により履行期間の平準化に取り組む。
2-2 業務入札契約段階
□業務の内容に応じた技術提案の評価内容の設定〈新規〉
発注者は、一定の資格、実績、成績等を競争参加資格条件とすることにより品質を確保できる業務などを除き、技術提案を求めるよう努める。特に、技術的に高度又は専門的な技術が要求される業務、地域特性を踏まえた検討が必要となる業務においては、プロポーザル方式により技術提案を求める。
2-3 業務履行段階
□設計条件の変化等に応じた適切な設計変更〈新規〉
設計条件を適切に設計図書に明示し、関連業務の進捗状況等、業務に係る様々な要因を適宜確認し、設計図書に示された設計条件と実際の条件が一致しない場合、設計図書に明示されていない設計条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合、その他受注者の責によらない事由が生じた場合において、必要と認められるときは、設計図書の変更及びこれに伴って必要となる契約額や履行期間の変更を適切に行う。
その際、履行期間が翌年度にわたることとなったときは、繰越明許費を活用する。
□履行状況の確認等〈新規〉
履行期間中においては、業務成果の品質が適切に確保されるよう、適正な業務執行を図るため、休日明け日を依頼の期限日にしない等のウイークリースタンスの適用や条件明示チェックシートの活用、スケジュール管理表の運用の徹底等により、履行状況の確認を適切に実施するよう努める。
2-3 業務履行段階
□受注者との情報共有や協議の迅速化等〈新規〉
業務に関する情報の集約化・可視化を図るため、BIM/CIMや3次元データを積極的に活用するとともに、さらに情報を発注者と受注者双方の関係者で共有できるよう、情報共有システム等の活用の推進に努める。また、テレビ会議や現地調査の臨場を要する確認等におけるウェアラブルカメラの活用などにより、発注者と受注者双方の省力化の積極的な推進に努め、情報共有が可能となる環境整備を行う。
2-4 業務完了後
□適切な検査・業務成績評定等〈新規〉
受注者から業務完了の通知があった場合には、契約書等に定めるところにより、定められた期限内に業務の完了を確認するための検査を行い、その結果を業務成績評定に反映させ、受注者へ速やかに通知する。
地盤状況に関する情報の把握のための地盤調査(ボーリング等)を行った際には、位置情報、土質区分、試験結果等を確認すると共に、情報を関係者間で共有できるよう努める。
2-5 その他〈新規〉
発注者と競争参加者双方の負担を軽減し、競争性を高める観点から、入札及び契約に関するICT活用の推進、書類・図面等の簡素化及び統一化を図るとともに、競争参加者の資格審査などの手続の統一化に努める。
3 発注体制の強化等
3-1 発注体制の整備等
□発注者自らの体制の整備
各発注者において、自らの発注体制を把握し、体制が十分でないと認められる場合には発注関係事務を適切に実施することができる体制を整備するとともに、国及び都道府県等が実施する講習会や研修を職員に受講させるなど国及び都道府県等の協力・支援も得ながら、発注関係事務を適切に実施することができる職員の育成に積極的に取り組むよう努める。国及び都道府県は、発注体制の整備が困難な発注者に対する必要な支援に努める。
3-2 発注者間の連携強化
□発注者間の連携体制の構築
各発注者は、本指針を踏まえて発注関係事務を適切かつ効率的に運用できるよう、地域ブロック毎に組織される地域発注者協議会等に協力し、発注者間の情報交換や連絡・調整を行うとともに、発注者共通の課題への対応や各種施策の推進を図る。
III.災害時における対応
1 工事
1-1 災害時における入札契約方式の選定〈新規〉
災害時の入札契約方式の選定にあたっては、工事の緊急度を勘案し、随意契約等を適用する。
災害協定の締結状況や施工体制、地理的状況、施工実績等を踏まえ、最適な契約の相手を選定するとともに、書面での契約を行う。
災害発生後の緊急対応にあたっては、手続の透明性、公平性の確保に努めつつ、早期かつ確実な施工が可能な者を選定することや、概算数量による発注を行った上で現地状況等を踏まえて契約変更を行うなど、工事の緊急度に応じた対応も可能であることに留意する。
1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置〈新規〉
災害応急対策や災害復旧に関する工事の早期実施、発注関係事務の負担軽減、復旧・復興を支える担い手の確保等の観点から、災害の状況や地域の実情に応じて、発注関係事務に関して必要な措置を講じる。
2 測量、調査及び設計
2-1 災害時における入札契約方式の選定〈新規〉
災害時の入札契約方式の選定にあたっては、業務の緊急度を勘案し、随意契約等を適用する。
災害協定の締結状況や履行体制、地理的状況、履行実績等を踏まえ、最適な契約の相手を選定するとともに、書面での契約を行う。
災害発生後の緊急対応にあたっては、手続の透明性、公平性の確保に努めつつ、早期かつ確実な履行が可能な者を選定することや、概算数量による発注を行った上で現地状況等を踏まえて契約変更を行うなど、業務の緊急度に応じた対応も可能であることに留意する。
2-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置〈新規〉
災害応急対策や災害復旧に関する業務の早期実施、発注関係事務の負担軽減、復旧・復興を支える担い手の確保等の観点から、災害の状況や地域の実情に応じて、発注関係事務に関して必要な措置を講じる。
3 建設業者団体・業務に関する各種団体等や他の発注者との連携〈新規〉
災害発生時の状況把握や災害応急対策又は災害復旧に関する工事及び業務を迅速かつ円滑に実施するため、あらかじめ、災害時の履行体制を有する建設業者団体や業務に関する各種団体等と災害協定を締結する等の必要な措置を講ずるよう努める。災害協定の締結にあたっては、災害対応に関する工事及び業務の実施や費用負担、訓練の実施等について定める。また、必要に応じて、協定内容の見直しや標準化を進める。
災害による被害は社会資本の所管区分とは無関係に面的に生じるため、その被害からの復旧にあたっても地域内における各発注者が必要な調整を図りながら協働で取り組む。復旧の担い手となる地域企業等による円滑な施工確保対策についても、特定の発注者のみが措置を講じるのではなく、必要に応じて地域全体として取り組む。
地域の状況を踏まえ、必要に応じて、発注機関や各種団体が円滑な施工確保のための情報共有や対応策の検討等を行う場を設置する。
IV.多様な入札契約方式の選択・活用
1 工事
1-2 工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成・確保に資する入札契約方式の活用の例〈取組強化〉
ワーク・ライフ・バランス等推進企業を必要に応じて評価項目に設定。
2 測量、調査及び設計
2-1 多様な入札契約方式の選択の考え方及び留意点
□特定者又は落札者の選定方法の概要〈新規〉
・プロポーザル方式
内容が技術的に高度な業務や専門的な技術が要求される業務、特に地域特性を踏まえた検討が必要となる業務であって、提出された技術提案に基づいて仕様を作成する方が優れた成果を期待できる業務
・総合評価落札方式
事前に仕様を確定することが可能であるが、競争参加者の提示する技術等によって、調達価格の差異に比して、事業の成果に相当程度の差異が生ずることが期待できる業務
・価格競争方式
発注者が示す仕様に対し、価格提案のみを求め、落札者を決定する方式
・コンペ方式
対象とする施設や空間に求める機能や条件を発注者側から示し、その機能や条件に合致した設計案を募り、最も優秀とみなされた設計案を選ぶ方式
V.その他配慮すべき事項
1 受注者等の責務〈新規〉
各発注者は、発注関係事務の実施に当たり、品確法第8条に「受注者等の責務」が規定されていることを踏まえ、以下に示す内容等については特に留意する。(略)
2 その他
本指針の記載内容について、各発注者の理解、活用の参考とするため、具体的な取組事例や既存の要領、ガイドライン等を盛り込んだ解説資料を作成することとしており、適宜参照の上、発注関係事務の適切な実施に努める。
全国的に災害が頻発する中、迅速で円滑な復旧・復興のため、災害時の緊急対応に関する内容を充実・強化した。新たな章として「災害時における対応」を位置付けた。改正法の趣旨に沿い公共工事関連の測量、調査、設計を運用指針の対象として明確化した。
働き方改革や生産性向上の取り組みに関連する事項を充実させた。適正な工期・履行期限の設定や、計画的な発注や施工時期・履行期限の平準化などの取り組みを強化。BIM/CIMや3Dデータの積極活用などを盛り込んだ。
政府は改正内容の周知とともに、3月中に運用指針の解説資料を公表。4月から新指針による発注事務を開始する。
《公共工事品確法に基づく「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」の改正概要》
I.運用指針の位置付け
2019年6月に公共工事品確法が改正され、災害時の緊急対応の充実強化や働き方改革への対応、情報通信技術(ICT)の活用等による生産性向上を図るための規定が盛り込まれたとともに、「公共工事に関する調査等」が明確に定義され、法律に広く位置付けられたことから、本指針を見直した。
II.発注関係事務の適切な実施のために取り組むべき事項
1 工事
1-1 工事発注準備段階
□適正な工期設定〈取組強化〉
工期の設定に当たっては、工事の内容、規模、方法、施工体制、地域の実情等を踏まえた施工に必要な日数のほか、工事に従事する者の休日、工事の実施に必要な準備・後片付け期間、天候その他のやむを得ない事由により工事の実施が困難であると見込まれる日数等を考慮する。また、週休2日を実施する工事については、その分の日数を適正に考慮する。さらに、労働力や資材・機材等の確保のため、実工期を柔軟に設定できる余裕期間制度の活用といった契約上の工夫を行うよう努める。
□計画的な発注や施工時期の平準化〈新規・取組強化〉
工事の施工時期の平準化は、繁忙期と閑散期の工事量の差を少なくし、年間を通して工事量を安定させ、労働者の処遇改善や資材・機材等の効率的な活用促進に寄与するものであるため、発注者は積極的に計画的な発注や施工時期の平準化のための取組を実施する。
(具体的には、)中長期的な工事の発注見通しについて(略)、地域ブロック単位等で統合して公表する。また、繰越明許費・債務負担行為の活用や入札公告の前倒しなどの取組により施工時期の平準化に取り組む。
1-2 工事入札契約段階
□競争参加者の施工能力の適切な評価項目の設定等〈取組強化〉
必要に応じて豊富な実績を有していない若手技術者や、女性技術者などの登用、民間発注工事や海外での施工経験を有する技術者の活用も考慮して、施工実績の代わりに施工計画を評価するほか、主任技術者又は監理技術者以外の技術者の一定期間の配置や企業によるバックアップ体制、災害時の活動実績を評価するなど、適切な評価項目の設定に努める。
1-3 工事施工段階
□施工条件の変化等に応じた適切な設計変更〈取組強化〉
施工条件を適切に設計図書に明示し、設計図書に示された施工条件と実際の工事現場の状態が一致しない場合、設計図書に明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合、その他受注者の責によらない事由が生じた場合において、必要と認められるときは、設計図書の変更及びこれに伴って必要となる請負代金の額や工期の変更を適切に行う。
その際、工期が翌年度にわたることとなったときは、繰越明許費を活用する。
□工事中の施工状況の確認等〈取組強化〉
建設業法において、元請負人は下請代金のうち労務費相当については現金で支払うよう適切に配慮することが規定されたことや、品確法において、公共工事等に従事する者の賃金や適正な労働時間の確保等、下請業者を含め適正な労働環境の確保を促進することが規定されたことを踏まえ、発注者は、下請業者への賃金の支払いや適正な労働時間確保に関し、その実態を把握するよう努める。
□受注者との情報共有や協議の迅速化等〈取組強化〉
工事に関する情報の集約化・可視化を図るため、BIM/CIMや3次元データを積極的に活用するとともに、さらに情報を発注者と受注者双方の関係者で共有できるよう、情報共有システム等の活用の推進に努める。また、材料検査や出来形確認などの現場臨場を要する検査については、ウェアラブルカメラ等を活用し、発注者と受注者双方の省力化の積極的な推進に努め、情報共有が可能となる環境整備を行う。
1-4 工事完成後
□工事の目的物の適切な維持管理〈新規〉
工事の目的物(橋梁、トンネル、河川堤防、公共建築物、港湾施設等〈既に完成しているものを含む〉)を管理する者は、その品質が将来にわたり確保されるよう、適切に点検、診断、維持、修繕等を実施し、その際3次元データ等、ICTの活用に努めるとともに、工事の目的物の維持管理に係る計画策定、業務・工事発注準備等の各段階において、発注関係事務を適切に実施するよう努める。また、権限代行による事業の整備など、工事の発注者と工事の目的物を管理する者が異なる場合においても同様に、工事の目的物を管理する者は発注関係事務を適切に実施するよう努める。
1-5 その他〈取組強化〉
発注者及び競争参加者双方の負担を軽減し、競争性を高める観点から、入札及び契約に関するICTの活用の推進、書類・図面等の簡素化及び統一化を図るとともに、競争参加者の資格審査などの手続の統一化に努める。
2 測量、調査及び設計
2-1 業務発注準備段階
□適正な履行期間の設定〈新規〉
履行期間の設定に当たっては、業務の内容や、規模、方法、地域の実情等を踏まえた業務の履行に必要な日数のほか、必要に応じて準備期間、照査期間や週休2日を前提とした業務に従事する者の休日、天候その他のやむを得ない事由により業務の履行が困難であると見込まれる日数や関連する別途発注業務の進捗(しんちょく)等を考慮する。
□計画的な発注や履行期間の平準化〈新規〉
業務の履行期間の平準化は、繁忙期と閑散期の業務量の差を少なくし、年度末の業務の集中を回避させることに寄与するものであるため、発注者は積極的に計画的な発注や履行期間の平準化に取り組む。
(具体的には、)工事に係る業務の中長期的な発注見通しについて(略)、地域ブロック単位等で統合して公表するよう努める。また、繰越明許費・債務負担行為の活用や入札公告の前倒しなどの取組により履行期間の平準化に取り組む。
2-2 業務入札契約段階
□業務の内容に応じた技術提案の評価内容の設定〈新規〉
発注者は、一定の資格、実績、成績等を競争参加資格条件とすることにより品質を確保できる業務などを除き、技術提案を求めるよう努める。特に、技術的に高度又は専門的な技術が要求される業務、地域特性を踏まえた検討が必要となる業務においては、プロポーザル方式により技術提案を求める。
2-3 業務履行段階
□設計条件の変化等に応じた適切な設計変更〈新規〉
設計条件を適切に設計図書に明示し、関連業務の進捗状況等、業務に係る様々な要因を適宜確認し、設計図書に示された設計条件と実際の条件が一致しない場合、設計図書に明示されていない設計条件について予期することのできない特別な状態が生じた場合、その他受注者の責によらない事由が生じた場合において、必要と認められるときは、設計図書の変更及びこれに伴って必要となる契約額や履行期間の変更を適切に行う。
その際、履行期間が翌年度にわたることとなったときは、繰越明許費を活用する。
□履行状況の確認等〈新規〉
履行期間中においては、業務成果の品質が適切に確保されるよう、適正な業務執行を図るため、休日明け日を依頼の期限日にしない等のウイークリースタンスの適用や条件明示チェックシートの活用、スケジュール管理表の運用の徹底等により、履行状況の確認を適切に実施するよう努める。
2-3 業務履行段階
□受注者との情報共有や協議の迅速化等〈新規〉
業務に関する情報の集約化・可視化を図るため、BIM/CIMや3次元データを積極的に活用するとともに、さらに情報を発注者と受注者双方の関係者で共有できるよう、情報共有システム等の活用の推進に努める。また、テレビ会議や現地調査の臨場を要する確認等におけるウェアラブルカメラの活用などにより、発注者と受注者双方の省力化の積極的な推進に努め、情報共有が可能となる環境整備を行う。
2-4 業務完了後
□適切な検査・業務成績評定等〈新規〉
受注者から業務完了の通知があった場合には、契約書等に定めるところにより、定められた期限内に業務の完了を確認するための検査を行い、その結果を業務成績評定に反映させ、受注者へ速やかに通知する。
地盤状況に関する情報の把握のための地盤調査(ボーリング等)を行った際には、位置情報、土質区分、試験結果等を確認すると共に、情報を関係者間で共有できるよう努める。
2-5 その他〈新規〉
発注者と競争参加者双方の負担を軽減し、競争性を高める観点から、入札及び契約に関するICT活用の推進、書類・図面等の簡素化及び統一化を図るとともに、競争参加者の資格審査などの手続の統一化に努める。
3 発注体制の強化等
3-1 発注体制の整備等
□発注者自らの体制の整備
各発注者において、自らの発注体制を把握し、体制が十分でないと認められる場合には発注関係事務を適切に実施することができる体制を整備するとともに、国及び都道府県等が実施する講習会や研修を職員に受講させるなど国及び都道府県等の協力・支援も得ながら、発注関係事務を適切に実施することができる職員の育成に積極的に取り組むよう努める。国及び都道府県は、発注体制の整備が困難な発注者に対する必要な支援に努める。
3-2 発注者間の連携強化
□発注者間の連携体制の構築
各発注者は、本指針を踏まえて発注関係事務を適切かつ効率的に運用できるよう、地域ブロック毎に組織される地域発注者協議会等に協力し、発注者間の情報交換や連絡・調整を行うとともに、発注者共通の課題への対応や各種施策の推進を図る。
III.災害時における対応
1 工事
1-1 災害時における入札契約方式の選定〈新規〉
災害時の入札契約方式の選定にあたっては、工事の緊急度を勘案し、随意契約等を適用する。
災害協定の締結状況や施工体制、地理的状況、施工実績等を踏まえ、最適な契約の相手を選定するとともに、書面での契約を行う。
災害発生後の緊急対応にあたっては、手続の透明性、公平性の確保に努めつつ、早期かつ確実な施工が可能な者を選定することや、概算数量による発注を行った上で現地状況等を踏まえて契約変更を行うなど、工事の緊急度に応じた対応も可能であることに留意する。
1-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置〈新規〉
災害応急対策や災害復旧に関する工事の早期実施、発注関係事務の負担軽減、復旧・復興を支える担い手の確保等の観点から、災害の状況や地域の実情に応じて、発注関係事務に関して必要な措置を講じる。
2 測量、調査及び設計
2-1 災害時における入札契約方式の選定〈新規〉
災害時の入札契約方式の選定にあたっては、業務の緊急度を勘案し、随意契約等を適用する。
災害協定の締結状況や履行体制、地理的状況、履行実績等を踏まえ、最適な契約の相手を選定するとともに、書面での契約を行う。
災害発生後の緊急対応にあたっては、手続の透明性、公平性の確保に努めつつ、早期かつ確実な履行が可能な者を選定することや、概算数量による発注を行った上で現地状況等を踏まえて契約変更を行うなど、業務の緊急度に応じた対応も可能であることに留意する。
2-2 現地の状況等を踏まえた発注関係事務に関する措置〈新規〉
災害応急対策や災害復旧に関する業務の早期実施、発注関係事務の負担軽減、復旧・復興を支える担い手の確保等の観点から、災害の状況や地域の実情に応じて、発注関係事務に関して必要な措置を講じる。
3 建設業者団体・業務に関する各種団体等や他の発注者との連携〈新規〉
災害発生時の状況把握や災害応急対策又は災害復旧に関する工事及び業務を迅速かつ円滑に実施するため、あらかじめ、災害時の履行体制を有する建設業者団体や業務に関する各種団体等と災害協定を締結する等の必要な措置を講ずるよう努める。災害協定の締結にあたっては、災害対応に関する工事及び業務の実施や費用負担、訓練の実施等について定める。また、必要に応じて、協定内容の見直しや標準化を進める。
災害による被害は社会資本の所管区分とは無関係に面的に生じるため、その被害からの復旧にあたっても地域内における各発注者が必要な調整を図りながら協働で取り組む。復旧の担い手となる地域企業等による円滑な施工確保対策についても、特定の発注者のみが措置を講じるのではなく、必要に応じて地域全体として取り組む。
地域の状況を踏まえ、必要に応じて、発注機関や各種団体が円滑な施工確保のための情報共有や対応策の検討等を行う場を設置する。
IV.多様な入札契約方式の選択・活用
1 工事
1-2 工事の品質確保とその担い手の中長期的な育成・確保に資する入札契約方式の活用の例〈取組強化〉
ワーク・ライフ・バランス等推進企業を必要に応じて評価項目に設定。
2 測量、調査及び設計
2-1 多様な入札契約方式の選択の考え方及び留意点
□特定者又は落札者の選定方法の概要〈新規〉
・プロポーザル方式
内容が技術的に高度な業務や専門的な技術が要求される業務、特に地域特性を踏まえた検討が必要となる業務であって、提出された技術提案に基づいて仕様を作成する方が優れた成果を期待できる業務
・総合評価落札方式
事前に仕様を確定することが可能であるが、競争参加者の提示する技術等によって、調達価格の差異に比して、事業の成果に相当程度の差異が生ずることが期待できる業務
・価格競争方式
発注者が示す仕様に対し、価格提案のみを求め、落札者を決定する方式
・コンペ方式
対象とする施設や空間に求める機能や条件を発注者側から示し、その機能や条件に合致した設計案を募り、最も優秀とみなされた設計案を選ぶ方式
V.その他配慮すべき事項
1 受注者等の責務〈新規〉
各発注者は、発注関係事務の実施に当たり、品確法第8条に「受注者等の責務」が規定されていることを踏まえ、以下に示す内容等については特に留意する。(略)
2 その他
本指針の記載内容について、各発注者の理解、活用の参考とするため、具体的な取組事例や既存の要領、ガイドライン等を盛り込んだ解説資料を作成することとしており、適宜参照の上、発注関係事務の適切な実施に努める。
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