2020/05/11 新型コロナウイルス/東京都、工事予算執行に黄信号/優先度で発注案件選

【建設工業新聞  5月 11日 1面記事掲載】

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の延長を受け、東京都が2020年度予算に盛り込んだ工事関係の発注案件を計画通り執行できない可能性が出てきた。

4月8日から続けていた工事や設計等委託、物品買い入れなどの発注公告を原則取りやめる措置は7日に解除したが、その代わりに現在の状況下で優先度の低い工事案件などを延期・中止する方針を表明。都関係者によると「当初想定していたものが執行できるか、各部局で検討することになる」という。

都は5日に発表した都政の運営方針で、都立学校や都営住宅、都道など都有施設の整備・修繕を対象に「未着手、未発注、一時停止が可能な事業は原則延期または中止する」と明らかにした。

この方針を踏まえ、各施設の所管部局では「必要性や優先度が高い案件」と「不要不急の案件」を仕分けする作業に入った。

発注公告の停止期間中にも、各部局は▽ライフラインに関わる案件▽緊急に対応が必要な案件-などの真にやむを得ないと判断した案件の発注公告を継続していた。全庁一律での公告停止は解除するものの、「各部局で発注案件を(仕分けの)フィルターにかけることに変わりはない」(都関係者)。当面は発注案件を絞り込む傾向が続くことになる。

もともと年度当初の4月は発注件数が最も少ない時期に当たり、「4月だけなら(公告停止の)影響を最小限にできると判断した」(同)という背景がある。5月以降は例年、発注件数が増加傾向にあるため、ここで発注量を抑えた影響は後々まで尾を引いてくる。都政の運営方針では延期した案件の予算執行が翌年度にずれ込む場合、予算の繰り越し制度などを活用し対応するとした。

都内区市町村の中には都に足並みをそろえ、発注公告の公表を当面中止していた自治体も多い。各自治体が都の新たな方針をどう受け止めるか、引き続き注視する必要がある。

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