2020/05/14 国交省/改正業法省令案/社保加入適用事業所の届け出を許可要件に

【建設工業新聞  5月 14日 1面記事掲載】

国土交通省は建設業法施行規則(省令)と関係告示の改正案をまとめた。建設業許可要件となっている経営業務管理責任者のうち経営管理責任体制の確保を「組織」に求める場合、常勤役員とそれを補佐する者を置くと規定。適正な社会保険に加入するすべての適用事業所・適用事業として厚生労働省に届け出ていることを許可要件とする。経営事項審査(経審)に関する規定も見直す。意見募集を経て、6月に公布する。

昨年6月公布の改正建設業法は、経営業務管理責任者に関する規制の合理化や円滑な事業承継制度の創設など、技術検定制度の見直し以外の規定が10月1日に施行される。2021年4月1日には技術検定制度の見直しを施行し、21年度試験から新しい技術検定制度になる。

建設業法施行規則等の一部を改正する省令案と関係告示の改正案は、施行日ごとに2種類。10月1日施行予定の改正案では、経営能力の許可要件の経営業務管理責任者に関する基準を規定。現行の建設業経営の5年以上の経験を「個人」に求める場合は、これまでの建設業の職種ごとの区別を廃止し、建設業の経験として統一する。

「組織」で経営管理責任体制を確保する場合、常勤役員とそれを補佐する者を置く。常勤役員は5年以上の役員経験を求める。このうち建設業経営の役員経験2年以上が必要で、残りの期間は▽建設業の役員または役員に次ぐ職制上の地位▽他業種での役員-のいずれかの経験でも構わない。常勤役員を補佐する者は5年以上の「財務管理」「労務管理」「運営業務」の経験を求め、1人が複数の経験を兼ねることも認める。

適正な社会保険への加入を許可要件とする。健康保険、厚生年金保険の適用事業所すべて、雇用保険の適用事業すべてについて厚労省に届け出ていることが要件。労働者ごとの加入までは要件としない。

改正業法では、これまで任意だった作業員名簿を施工体制台帳の書類の一つに位置付ける。省令案には作業員名簿の記載事項を規定する。

経審に関する規定も改定。評価項目として、建設業者による技術者・技能者の知識や技術、技能の向上の取り組み状況を追加する。審査項目のうち「建設業の経営に関する状況」を見直し、継続的に専門的な講習を受講した公認会計士や税理士などと規定。建設業の経理業務が遂行できる者を対象に講習を行う登録経営講習実施機関を創設する。経審に関する規定は21年4月1日に適用するが、登録経営講習実施機関の登録申請は10月1日とする経過措置を講じる。

21年4月1日施行予定の省令案には、新しい技術検定の受験申請に関する添付書類などを規定する。

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