2020/05/21 就職戦線に変化/ウェブ面接広がるも内定は対面経て/就職みらい研調べ

【建設工業新聞  5月 21日 1面記事掲載】

新型コロナウイルスの影響で2021年入社に向けた就職戦線に変化が生じている。リクルートキャリアの研究機関「就職みらい研究所」(増本全所長)の調査によると、1日時点の大学生の就職内定率は45・7%(前年比5・7ポイント減)で、現行の採用スケジュールとなった17年卒以降で初めて、内定率が前年同月を下回った。背景にあるのは外出自粛が広がる中での選考の難しさだ。代替手段としてウェブ面接が広がっているものの、最終面接までオンラインで対応することに不安を感じるケースもあり、足踏み状態となっている。

調査対象は同社が募集したモニター学生4199人。大学生1080人と大学院生413人から回答を得た。調査期間は1~7日。

大学生の内定率は、2月1日時点から4月1日時点までは、前年を上回るペースで好調に推移。ところが新型コロナ感染拡大への懸念の広がりと呼応するように鈍化し、5月1日時点の内定率は、前年実績に届かなかった。大学院生も同様の傾向となっている。

4月に実施した就職活動を学生に聞いたところ、「面接など対面での選考を受けた」は35・2%で、前年実績(70・1%)から半減した一方、「ウェブ上での面接を受けた」は前年実績(7・6%)を大きく上回る56・9%に達した。同社は「おしなべてさまざまな企業や業種・業界でウェブ面接が導入されているのではないか。ただ、オンライン面接のみで内定を出すことは難しいという企業もあり、内定を出し控えているのだろう」と指摘する。

ウェブ面接を導入したあるゼネコン幹部は「初期段階は有効だと感じた」と話す。ただ、最終面接は対面で行いたいと考えており、新型コロナの影響が落ち着くのを待って動く方針という。最終面接待ちとなっている学生へのフォローにも気を配っている。

ウェブ面接は、感染拡大防止につながるとともに、遠隔地から容易に参加できることがメリットだが、設備や通信環境という制約条件も生まれる。マイナビが4月24~30日に実施した就職活動の実態調査で、学生9478人に就職活動時の通信環境を聞いたところ、約3分の1は、通信容量の制限がある中で就職活動を行っていた。同社は「学生の通信環境に配慮する必要がある」と指摘している。

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