2020/06/08 橋本店/AI活用し働き方改革促進/労働時間の削減効果を見える化

【建設工業新聞  6月 8日 6面記事掲載】

橋本店(仙台市青葉区、佐々木宏明社長)は人工知能(AI)を活用した社員の働き方改革に乗りだした。AIを使い業務内容に応じた社員(全172人)の労働時間を「見える化」。さらに新技術導入を柱とする働き方改革を実行した場合、現場部門(151人)では社員1人当たり平均で月26時間・年313時間が削減可能という労働時間の定量的な削減効果見通しも推計した。今後はこの削減効果見通しを働き方改革の指標とし、業務効率化に向けた対策を推進する。

佐々木社長が5日に仙台市青葉区の同社で記者会見を開き=写真、AIを活用した働き方改革の概要を説明。席上、「現場の一人一人がどのような作業にどれだけの時間を費やしているかデータ化した。この結果に基づいて(働き方を)改革する。これからの建設業界の参考になるのではないか」と話した。

橋本店は富士通のAIソフト「Zinrai」を活用。全社員を対象に2019年度(19年4~20年3月)の労働時間を調べた。その結果、現場部門では社員1人当たり平均で月160時間・年1919時間という実態が判明。内訳を見ると、作業や安全管理など「現場対応」が月88時間・年1061時間、打ち合わせや先方依頼の図面変更など「発注者対応」が月50時間・年595時間、注文の取り決めや伝票作成など「社内対応」が月22時間・年263時間となっている。

AIソフトを使い働き方改革による労働時間の削減効果見通しも推計した。実際の労働時間に比べ現場対応は月6時間減・年79時間減、発注者対応は月9時間減・年99時間減、社内対応は月9時間減・年110時間減という削減効果が期待できると予測した。

総務・営業部門の社員も含めた残業時間の実態と働き方改革による削減効果見通しも試算。その結果、全社平均で19年度の月37時間から13時間、年445時間を161時間にまで減らせるとした。

橋本店は7月から先行し、24年3月末まで建設業への適用が猶予される働き方改革関連法の時間外労働規制に対応した残業時間の削減を目指す。今回、AIで推計した労働時間の削減効果見通しを指標に設定。時間情報を加えたBIM/CIMの4D化をはじめ、電子黒板やASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)を利用した受発注者間で情報共有を効率化できるシステムの導入など計13項目の働き方改革に取り組む。

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