2020/06/17 国交省/建退共制度、CCUS活用の電子申請方式にシフト/履行徹底の通達発出へ

【建設工業新聞  6月 16日 1面記事掲載】

国土交通省は建設業退職金共済(建退共)制度の履行徹底に向け、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した電子申請方式へのシフトを制度利用者に促す。導入が整った工事の建退共事務を効率化する。CCUS活用電子申請方式を完全実施する場合、元請が発注者に誓約書を提出すると事前の掛け金納付が不要。元請が指導してもCCUSや電子申請方式を採用しない下請に対し、掛け金一括納付など代行義務を免除する。=2面に関連記事

建退共はさまざまな現場で働く技能者に対する業界共通の退職金制度。老後の安心や仕事へのモチベーションにもつながる制度インフラとして大きな役割を果たしている。国交省は技能者の就業実績を漏れなく建退共退職金の掛け金充当につなげるため、CCUSを活用した電子申請方式にかじを切る。

CCUSの普及・活用に向けた官民施策パッケージでは、2023年度からあらゆる工事でCCUS完全実施に向けた道筋の一つとして、「建退共のCCUS活用への完全移行」を位置付けた。技能者の就労実績を掛け金充当につなげるため、CCUSに蓄積された就労実績を掛け金充当に活用することを原則化する。

20年度は「CCUS活用電子申請方式」の本格実施に向け、運用通知や要領などを改定する。建設業団体や発注者団体などに対し、建退共制度の履行徹底に関する通達を夏に発出予定。元請による下請の掛け金納付など一括代行(事務受託)の徹底とともに、電子申請方式採用の原則化を要請。民間工事でも掛け金充当を推進するよう求める。

10月から電子申請方式を試行する。公共工事では21年度から、掛け金充当の確実性と透明性が向上するCCUS活用電子申請方式を推奨。掛け金充当などに関する履行強化と経営事項審査(経審)評価を行う。従来の証紙方式についても掛け金納付額と充当状況に関する履行確認を強化する。

CCUSや電子申請方式の導入環境が整った工事から、建退共事務を効率化する。元請が工事請負契約の締結後1カ月以内に、CCUS活用電子申請方式を現場で完全実施する誓約書を発注者に提出した場合、事前の掛け金納付が不要。事前概算方式ではなく、事後精算方式になるため余分な掛け金納付がなくなる。

工事完了後の発注者による掛け金充当状況の確認手続き書類が減り、事務を簡素化。元請の指導にかかわらず、CCUSや電子申請方式を採用しない下請に対し、掛け金一括納付など代行義務を免除する考えだ。

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