2020/06/26 CCUS利用料引き上げ、業界から不満続出/運用計画に疑問、普及にブレーキ

【建設工業新聞  6月 26日 1面記事掲載】

国土交通省が24日に開いた官民の建設キャリアアップシステム(CCUS)運営協議会・運営委員会で利用料金の引き上げを提案したことに対し、業界から不満の声が上がっている。「利用者に負担がのしかかり登録が進まなくなる」「(運営主体の)建設業振興基金(振興基金)のコストカットが先だ」など、引き上げに反対する意見が相次いでいる。

CCUSを運営する振興基金の財政悪化を主因に国交省は利用料金体系の見直しを提示した。事業者登録料を現行の5倍、技能者登録料は2500円から4000円に引き上げる。現場利用料も3円を6円に倍増させる。10月から新しい料金体系に移行したいとしている。業界にシステムの追加開発費用の拠出も要請した。

業界からは「特に技能者の登録料を引き上げるのが難しいのではないか」(団体幹部)との見方や、「技能者を抱える事業者の経営を圧迫することになる」(別の団体幹部)と値上げに反対する意見が大半だ。

CCUS普及に力を入れる団体の幹部からは「加入者が増えるほど赤字が増加するという料金設定に問題があった」とCCUSの運用計画に疑問を呈し、赤字になった経緯の十分な説明を求めている。

ある団体の事務局は2回目となる費用拠出に対し「応じるかどうかはこれから検討したい」とコメント。別の団体の幹部は「(拠出は今回までで)3回目はない」とくぎを刺し、「今回もっと利用料を引き上げてでも持続可能なシステムにすべきだ」と話す。

「料金だけ上げてサービスの質が変わらなければ、登録が進むわけがない」(団体事務局)という指摘や、「現時点で登録が進んでいないのは、利用者が十分なメリットを感じられていないからだ」(業界関係者)といった意見もあった。さらなるサービス向上や公共工事だけでなく、民間工事での普及を促すような施策を求める声の中には「早期の義務化」を訴える意見が根強い。

CCUSは技能者の処遇改善の切り札。将来にわたる担い手確保に欠かせない制度インフラとして、業界を挙げ普及に取り組んでいる。そうした中での今回の値上げ発表。ある団体幹部は「CCUSを立ち消えにさせないというのは各団体の共通認識だろう」と心境を明かす。

2023年度からのCCUS完全実施を前に暗雲が立ち込めている。

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