2020/07/06 国交省/CCUSの利便性向上へ/スマホで入退場登録、建退共掛け金充当

【建設工業新聞  7月 3日 1面記事掲載】

国土交通省は建設キャリアアップシステム(CCUS)のサービスを拡張する。カードリーダーを設置せず、スマートフォンを使って入退場登録する方法や、入退場登録で勤務時間を管理する機能などを付加。建設業退職金共済(建退共)の掛け金充当に活用する方策も検討する。モニターによる実証実験を早期に着手し効果を検証。早ければ来春にも各サービスをCCUSに順次実装していく。

国交省はCCUSの普及・活用に向けた官民施策パッケージを3月に公表。2023年度からあらゆる工事でCCUS完全実施に向けサービスを拡張。CCUSの付加価値や利便性をさらに高める。

中小現場にCCUSを導入促進するには、カードリーダーの設置負担がハードルになっている。そこでCCUS登録の技能者本人が保有する携帯電話やスマホといった身近なデバイスとアプリケーションを活用。顔認証による入退場管理など、簡易に入退場登録できる方法を検証する。技能者の能力評価に必要な職種や立場(職長・班長の別)の情報を直接スマホなどで登録できる方法も検証し、CCUSの利便性を高める。

改正労働基準法に基づく時間外労働の罰則付き上限規制が、24年度から建設業に適用される。CCUSの入退場登録の情報を活用して、現場全体の勤務時間管理や企業ごとの労務管理機能などを付加。現場管理や労務管理を高度化する方法も視野に、労務費や法定福利費などの集計機能も検証する。残業が容易に把握できるなど、事業者や技能者の働き方改革につなげる。

事業者、技能者がCCUSに登録した建退共の共済契約者番号(事業者情報)と被共済契約者番号(技能者情報)に、CCUSの入退場登録情報をひも付ける。就業履歴情報に基づき、現場ごとに労働者の電子就労状況報告(建退共が定める就労状況報告)を自動生成し、元請にオンラインで提供。技能者にとってはカードリーダーにタッチするだけで建退共掛け金が充当できるようになる。

一人親方の建退共掛け金の履行確保に向け、一人親方のCCUS登録時に建退共加入をオンラインで受け付ける。任意組合との間で加入者情報をクラウド上で共有し、一人親方の建退共加入手続きを効率化する。

国交省は「建設技能者の処遇改善及び効率的な現場管理に関する仕組みの利便性向上に向けた調査・検討業務」の委託先を決めるプロポーザル手続きを2日に開始。8月11日まで不動産・建設経済局建設市場整備課で企画提案書を受け付ける。

国交省は実証実験の早期着手に向け、CCUSと既にAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)連携している民間システムの提供者などを念頭に置いている。

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