2020/07/22 国交省/リスク伴う災害復旧工事の「不可抗力」解釈明確化/受注者の損害金負担なくす

【建設工業新聞  7月 22日 1面記事掲載】

国土交通省は近年頻発する自然災害を踏まえ、リスクを伴う災害復旧工事が適切に行われるよう、「不可抗力」による損害の解釈を明確化する。公共工事標準請負契約約款では天災など受発注者に責任がないものを不可抗力としている。予見の可能性が高いリスクにより生じた損害は不可抗力の対象外と解釈する。不可抗力による損害額の受注者負担をなくす考えだ。

公共約款の規定では不可抗力で損害が生じた場合、損害額と損害の取り片付け額の合計額のうち、請負代金額の100分1を受注者が負担するとされている。リスクの高い災害復旧工事に従事する受注者が、不可抗力で生じた損害額の1%を支払うようになっている。

地域の中小建設業者は「地域の守り手」として、災害復旧工事でリスクが高い中でも施工することが求められる。災害復旧工事のうち、出水期の河川工事など一定の損害が生じるリスクを伴う場合もある。

国交省は公共約款の不可抗力の解釈と、不可抗力条項の取り扱いを明確化する。リスクの高い工事の途中に被災して生じた損害は、あらかじめ想定して対処すべきものもあるとの方向性を提示。公共約款の条項で不可抗力は「天災などで発注者と受注者いずれの責めにも帰すことができないもの」とされている。予見でき発注者が考慮すべきリスクは、不可抗力の対象にならないと考える方向だ。

国交省は今後、リスクの高い工事など詳細を詰めた上で、不可抗力による損害の解釈を地方自治体に示す予定だ。

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