2020/08/04 国交省/インフラ分野のDX推進/働き方や知識・経験変革、20年度末までに施策提示

【建設工業新聞  7月 30日 1面記事掲載】

国土交通省は、データやデジタル技術の活用を加速するインフラ分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進める。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を機に、非接触・リモート型の働き方への転換や安全性の向上などを図り、社会資本や公共サービスを変革するのが狙い。業務や組織、プロセス、働き方など幅広い領域で変革を促す。29日にDX推進本部の初会合を開催。2021年度予算概算要求に向けDX施策を検討し、年度末までに成果を取りまとめる。=2面に関連記事

新型コロナの感染拡大を契機に新しい働き方が広がっている。社会の変容を支える第5世代通信規格(5G)や人工知能(AI)など基幹テクノロジーも進展。国交省は社会・経済状況の変化を受け、インフラ分野でもDXを進める。

「国土交通省インフラ分野のDX推進本部」(本部長・山田邦博技監)を設置し、29日に東京・霞が関の省内で初会合を開いた。山田技監=写真=は「DXは社会資本や公共サービス、業務などを変えるだけでなく、国交省や所管する分野の文化、風土も変える」とし活発な議論を求めた。

国交省はインフラ分野のDXを▽行動▽知識・経験▽モノ-の三つの柱で検討する。行動では対面主義にとらわれない働き方を推進。コロナ禍で3密(密閉・密集・密接)を避け現場の機能を確保するため、映像など活用した遠隔臨場を試行している。こうした取り組みを通じて建設現場の働き方を変える。

知識・経験ではAIを活用し熟練技能を継承する。施工の段取りやインフラ点検での熟練技術者の判断結果を教師データとして民間に提供。AI開発を促進し建設施工やインフラメンテナンスを変革する。モノのDXはBIM/CIMの導入によって建設生産プロセスを変革する。複数の図面から推察していた内部構造や組み立て形状を可視化し、数量や工事費の算出を自動化するなど、受発注者双方の働き方を変える。

DX施策の柱として▽建設生産プロセスの変革による抜本的な安全性や生産性の向上▽維持管理・許認可など公物管理の省人化・高度化▽防災・減災対策の高度化▽インフラ分野の新しい働き方の創造▽オープンイノベーションによる新たな価値の創造-などを想定している。

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