2020/09/08 国交省/許可事務指針改定へ/改正建設業法施行に併せ、事業継承手続きなど規定

【建設工業新聞  9月 8日 1面記事掲載】

国土交通省は建設業法施行規則(省令)などの改正に伴い、大臣許可を対象とする許可事務ガイドラインを改定する。「組織」で経営管理責任体制を確保する場合に置く常勤役員を補佐する者の業務経験などを規定。事業承継や相続する際の審査が円滑に進むよう許可の手続きや審査要領などを示した。16日まで改定案への意見を募り、今月中旬以降に地方整備局へ通知。改正建設業法の施行と併せて10月1日に適用する。

昨年6月公布の改正業法は、経営業務管理責任者に関する規制の合理化や円滑な事業承継制度の創設など、技術検定制度の見直し以外の規定が10月1日に施行される。関連する省令が8月28日に公布。許可要件となっている経営業務管理責任者のうち、経営管理責任体制の確保を「組織」に求める場合、常勤役員と補佐者を置くことなどが規定された。

国交省は許可要件が改定されることから「建設業許可事務ガイドライン」の改定案をまとめた。省令で常勤役員の補佐者は5年以上の「財務管理」「労務管理」「運営業務」の経験を求め、1人が複数の経験を兼ねることも認める。ガイドラインには「財務管理」「労務管理」「運営業務」それぞれの業務経験の内容を明記。業務の経験期間が重複していても構わない。

省令で常勤役員には建設業経営の役員経験2年以上を含む、5年以上の役員経験などを求める。残り3年のうち「役員に次ぐ職制上の地位」の経験はガイドラインで、地位に扱うかどうかを組織図などで確認するとしている。

改正業法では、持続可能な事業環境を確保する観点から、許可の空白期間なく円滑に事業承継できる制度を創設。許可の事前審査・認可を可能にする。個人事業主の事業承継、相続も事前審査認可制度を設ける。

ガイドラインでは合併や事業譲渡する際、なるべく早く申し出や事前打ち合わせを行うよう、建設業者を指導すると明記。知事許可から大臣許可に切り替える場合、建設業者は大臣への許可申請と併せて、知事に許可申請を届け出る。大臣は知事に許可書類の提出を依頼。都道府県の負担が軽くなるよう留意する。

適正な社会保険への加入も許可要件となる。健康保険、厚生年金保険の適用事業所すべて、雇用保険の適用事業すべてを厚生労働省に届け出ていることが要件。ガイドラインには届け出たことを証明する書面内容などを明記している。

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