2020/10/22 日建連・山内隆司会長/必要十分な公共事業確保が不可欠/財務省の見解に反論

【建設工業新聞  10月 22日 1面記事掲載】

◇施工余力に問題なし

日本建設業連合会(日建連)の山内隆司会長は21日に東京都内で会見し、コロナ禍で減速している景気や経済活動を下支えするため「公共投資の効果が求められており、必要かつ十分な公共事業量の確保が不可欠だ」との考えを示した。日本の公共投資の財政支出が国際的に高いという財務省の見解に「気候風土や地理の特性を全く加味せず、財政の比率だけで判断するのは極めて乱暴」と異を唱え、人手不足との見方に対しても「根拠がなく全くの誤解」と反論した。

財務省は19日に開いた財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)の部会に今後の社会資本整備の基本的方向性を提示。「社会資本が概成しつつある」との認識をベースに、新規投資などの増加を避ける必要があると主張した。建設業者の手持ち工事量の増加や建設業の有効求人倍率の高さといったデータを踏まえ、足元で建設労働需給が逼迫(ひっぱく)し、今後も労働力確保が難しいとも指摘した。

こうした見方に対し、山内会長は「人手不足でできなかった現場、遅れた現場はない。根拠のない議論をされても大変困る」と憤り、施工余力に問題はないと強調。手持ち工事量は「すべて今すぐに着工できる工事ばかりではない。設計や打ち合わせなどを経て着工する工事もある。(財務省は)手持ち工事量の意味を誤解している」と述べ、安定経営には手持ち工事量14カ月分が当たり前の水準とした。

相次ぐ自然災害を踏まえ山内会長は「頻発化、激甚化する災害への対応を強化し、国民の生命や安全を守り、被災による経済損失を最小限に抑える。そのためにも防災・減災、国土強靱化の取り組みを来年度以降も継続して強力に実施することが重要だ」と訴えた。公共事業費の安定的、持続的な確保に向け、11月中旬にも政府・与党に要望活動を行うと表明した。

会見には宮本洋一、押味至一両副会長も出席。新型コロナウイルスの流行で民間投資がさらに冷え込む可能性があり、宮本副会長は「先が読めない。手持ち工事がある程度あり現時点で困っていないが、来年度以降どう対応していくか難しい」と述べた。押味副会長も「(経済変動が)建設業は2年後に大きな影響が出る。公共投資を向けなければいけない」と語った。

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