2020/10/27 国交省/CCUS拡張サービス実証実験へ/カードリーダー置かずに入退場登録

【建設工業新聞  10月 27日 1面記事掲載】

国土交通省は建設キャリアアップシステム(CCUS)の利便性を高める拡張サービスの実証実験を始める。中小現場でカードリーダーを設置せず、入退場登録する方法の実効性を検証する。元請事業者を対象に11月末までモニターを募り、12月中にも現場実証に入る。効果や課題を収集し、より良いシステムの構築につなげる。2021年度の早期にCCUSへの実装を目指す。

国交省はCCUSの普及・活用に向けた官民施策パッケージを3月に公表。2023年度からあらゆる工事でCCUS完全実施に向けサービスを拡張。CCUSの付加価値や利便性をさらに高める。

中小現場へのCCUS導入促進には、カードリーダーの設置負担がハードルになっている。そこでCCUS登録の技能者本人が保有する携帯電話やスマートフォンといった身近なデバイスとアプリケーションを活用。携帯電話の発信だけで入退場登録できる機能や、スマホなどの顔認証アプリで入退場登録するなど、簡易な仕組みで就業履歴を蓄積する方法を検証する。

カードリーダー以外での現場入場登録手法の実効性を実証するため、中小現場などを対象に実証実験を行う。技能者・事業者のCCUS登録メリットを実証し、CCUSサービス提供の一つとして実証実験する入退場システムの実装可否を検証する。

実証実験に協力してもらうモニターの募集を26日に開始した。対象は全国の元請事業者100社程度(1社当たり5現場を想定)。CCUSに登録済みだが就業履歴が蓄積できていない企業や、未登録だが現在登録申請済みの企業、今後登録予定を含みCCUSに興味のある企業を募る。11月30日まで受け付ける。

選定されたモニターにはCCUSへの登録のほか、技能者への現場入退場登録の推進や登録メリットのアンケート対応、状況報告の提出などを求める。モニターに対し、すべての調査が終了した後、回答の実績に応じて1現場当たり上限1万円を補助する。提供するアプリの現場運用など個別調整は、実証実験に関する調査・検討業務を受託したコムテックス(富山県高岡市、後藤敏郎社長)が担当する。

国交省はCCUSの拡張サービスとして、施工体制登録をせずに技能者の職種や立場(職長・班長の別)を蓄積する仕組みや、入退場登録で勤務時間を管理する機能などを開発する方針。技能者・事業者の登録メリットを高めるため、建設業退職金共済(建退共)の掛け金充当に活用する方策や、現場労災保険を実質賃金で申請する方法などの検討も予定している。

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