2020/11/27 建コン各社/テレワーク環境、複数企業が効率低下を指摘/人材育成で課題も

【建設工業新聞  11月 27日 3面記事掲載】

新型コロナウイルスの感染拡大を契機にテレワークの環境整備に注力する建設コンサルタント業界で、業務効率の低下に苦慮する事態が起こっている。経験が浅い若手社員と意思疎通を図る難しさや、テレビ会議システムの操作スキルが未熟な点がテレワーク定着の足かせになっているようだ。担い手確保を経営の最重要課題に掲げる建コン各社。主流になりつつあるリモート環境で成果品の品質を確保し、人材育成に取り組んでいくのか。各社は有効な手だてを模索している。

テレワークによる▽生産性向上の有無▽要因分析▽向き不向きの職種-などを主要7社に聞いた。コロナ禍を機にテレワークを積極展開する建コン各社のうち、「生産性が向上した」と「変化なし」は共に28・6%(各2社)。一方「低下した」と回答したのは42・8%(3社)だった=グラフ参照。

最大手の日本工営は、オンライン会議に伴う移動時間の削減や会議室の手配が不要になった点をメリットに挙げた。社内のスケジュール管理表を利用した空き時間の把握にもつながり、従来よりも業務効率の改善につながっているという。建設技術研究所は「個人で完結できる業務の場合、在宅の方が集中しやすい」と答えた。

一方、意思疎通の難しさが要因となって効率低下に陥る企業もある。全社員に在宅勤務を促しているオリエンタルコンサルタンツは「実務経験の少ない若手社員とのコミュニケーションに時間を要する」と回答。テレワークの良さを実感する建設技術研究所も「直接対面よりも希薄になるのでは」と、テレビ会議ツールを利用した若手人材育成の難しさを挙げる。

コミュニケーションの機会が不足し「手戻りなどのリスクが増えた」と答えたのは八千代エンジニヤリング。開発系や知見が問われる道路設計分野などは関係者同士の確認作業が多く、対面形式の方が効率的と訴えている。

テレワークが向かない職種を聞いたところ、パシフィックコンサルタンツなど2社は「不向きな職種はない」と回答。大日本コンサルタントは電話や来客応対が必要な総務部門を挙げた。日本工営は調査業務や高度な数値解析が必要な職種など、応用地質は試験・分析を含む社員と答えた。実地調査などフィールドワークが不可欠な業務もあり、テレワークを全社規模で実施するのはまだまだハードルが高いようだ。

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