2021/02/22 都道府県/21年度予算案出そろう/20年度補正予算と一体で災害対策推進

【建設工業新聞  2月 22日 1面記事掲載】

都道府県の2021年度予算案が19日に出そろった。普通建設事業費などを含む投資的経費の総額は前年度比13・5%減となる6兆9688億円。当初ベースで前年度を上回るのは6県にとどまるが、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の関連経費を20年度補正予算案に前倒しで計上しており、実質的には前年度以上の経費を確保した自治体が少なくない。

新型コロナウイルス感染症に対応する医療提供体制の確保や中小企業向け制度融資の拡充に費用をつぎ込み、一般会計の予算規模が過去最大となった自治体は2桁に達した。景気低迷による税収減は、基金の取り崩しや地方債の発行増で補っている。厳しい財政状況を踏まえ例年以上のマイナスシーリング(限度額)を設定したり、普通建設事業費のうち単独事業の規模・内容を見直ししたりするケースも目立った。

コロナ禍の財政状況が見通せない中でも国の政策に呼応し、防災・減災対策に限られた財源を重点配分する傾向が強まっている。神奈川県は昨年策定した「水防災戦略」の計画額を約100億円上回る規模で河川改修や津波・高潮対策などのハード整備を推進する。20年7月豪雨の被災地は治水対策を急ぐ。熊本県は豪雨被災地の河川改修や16年の熊本地震からの復興事業が投資的経費を引き上げた。ダムの機能強化にも取り組む。山形県は氾濫した最上川流域の治水対策に予算を重点化した。岡山県は18年の西日本豪雨からの復旧・復興を着実に進める。投資的経費が前年度を連続して下回っていても、香川県のように20年度補正予算案に災害対策を計上している自治体もある。

投資的経費の伸び率が大きかった自治体のうち、愛知県は22年秋開業を目指す「ジブリパーク」などの大規模プロジェクトを抱える。福井県は北陸新幹線の駅舎整備などに充てる負担金の計上額を増やす。埼玉県は公共施設の長寿命化に必要な修繕などに予算付けした。政府の方針や社会情勢を踏まえ、建設産業スマート・デジタル化(宮崎県)や、県産材の活用で温室効果ガスの排出削減を進めるZEB推進モデル(群馬県)に取り組む動きも活発化している。

東日本大震災からまもなく10年を迎える岩手、宮城、福島の3県は、住宅再建やインフラの復旧・復興事業の予算措置が前年度に一段落したことで、投資的経費が大幅な減少となった。

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