2021/03/31 国交省/流域治水プロジェクト公表/1級水系は総事業費17兆円

【建設工業新聞  3月 31日 1面記事掲載】

国土交通省は30日、すべての1級水系(109水系)を対象に流域全体で取り組む治水対策の全体像を示す「流域治水プロジェクト」を公表した。各水系で立ち上げた協議会が、119プロジェクトを策定。戦後最大規模の洪水への対応を念頭に、各流域で実施する河川整備など事前防災対策をまとめた。プロジェクトの総事業費は約17兆円に上る。2級水系のうち12水系もプロジェクトを公表。施策の実行と並行して、気候変動の影響を考慮した河川整備基本方針なども検討していく。=4、7面に関連記事

同日の閣議後会見で赤羽一嘉国交相は「流域治水を現場レベルで本格的に実践するスタートラインに立った。関係省庁と連携しながら総力を挙げて実行し、防災・減災が主流となる社会づくりを全力で推進する」と語った。

流域治水プロジェクトは、上流と下流、本川と支川の流域全体を俯瞰(ふかん)して、国や地方自治体、企業など関係者が協働して取り組む重点施策をまとめた。河川や砂防、雨水貯留浸透施設の整備、土地利用規制や利水ダムの事前放流など各分野の施策を▽氾濫を防ぐ・減らす▽被害対象を減少させる▽被害軽減、早期復旧・復興-の3本柱で整理。実施主体や工程、事業費を明確にした。

工程は▽集中対策によって浸水被害を軽減する「短期」(おおむね5年間)▽街づくりとの連携などで当面の安全性向上を目指す「中期」(10~15年間)▽戦後最大規模の洪水に対し、浸水被害を軽減する「中長期」(20~30年間)-の3段階で提示。

1級水系は水系ごと、大規模な場合は水系を複数に分けて関係者が参画する118の協議会を設置。プロジェクトの内容を議論してきた。21年度以降もブラッシュアップに向けて検討を継続する。2級水系でも流域治水プロジェクト策定の動きを拡大する考えだ。

国交省は流域治水プロジェクト策定の次の段階として、急激に進む気候変動の影響を河川整備基本方針や河川整備計画に反映する。31日に有識者会議を開き検討に入る。

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