2021/04/08 国交省/自治体のダンピング対策強化/直轄並みの厳格運用、個別に改善働き掛け

【建設工業新聞  4月 8日 1面記事掲載】

国土交通省はダンピング受注の排除に向け、地方自治体の取り組みをさらに後押しする。各都道府県と管内市区町村で構成する都道府県公共工事契約業務連絡協議会(都道府県公契連)と緊密に連携。低入札価格調査の実効性確保や調査基準の見える化など、ダンピング対策を深掘りし強化する。国交省の青木由行不動産・建設経済局長は「(自治体に対し)直轄並みの厳しい対策や運用を求めていきたい」との考えだ。

低入札価格調査基準に関する中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルと国交省の基準が、ダンピング対策の強化を目的として2019年4月に改定された。それを踏まえ国交、総務両省は自治体に対し、基準の適切な見直しを要請してきた。

国の最新基準を採用しない市区町村が依然多いことを受け、国交省は今後、国の基準を大きく下回る市区町村などの基準を見える化し、個別に改善を働き掛ける。独自の基準を採用している団体については、個別に基準を精査した上で働き掛けを行う。

低入札価格調査で価格による失格基準の適切な運用徹底や、総合評価方式で施工体制の適切な評価などを講じ、ダンピング対策の実効性確保を図る。価格による失格基準は、一定価格を下回る応札を失格にする仕組み。失格基準と調査基準価格が大きく乖離(かいり)し、低入札価格調査での排除率が低い団体に対し、個別にヒアリングして改善を促す。失格基準が調査基準価格を大きく下回る団体には、失格基準をできるだけ引き上げるよう要請する。

国交省直轄工事では、調査基準価格を下回る場合の対策として▽契約保証額の引き上げ▽前払い金の縮減▽受注者側技術者の増員▽監督および検査などの強化▽施工体制の点検頻度の増加▽施工後の工事コスト調査の実施▽粗雑工事があった場合、指名停止措置などの強化-の7項目を設定している。自治体ではこうした施工確保措置にばらつきがあり、都道府県で平均3・3項目、政令市は平均2・2項目。実施項目がゼロの団体もある。

国交省はダンピング対策の一つとして、施工体制確認型総合評価方式を採用しているが、都道府県では9団体の導入にとどまっている。国交省は自治体に対しダンピング抑制の観点から、施工確保措置の拡充や同方式の活用など、さらなる対策を講じるよう促す。

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