2021/04/14 公共発注機関の積算基準ー「適正でない」6割強/全中建が会員実態調査

【建設工業新聞  4月 14日 1面記事掲載】

全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)が会員企業を対象に実施した入札契約制度に関する実態調査によると、国と都道府県、市町村の工事で積算基準が「適正でない」と考えている企業の割合は全体の6割を超えた。発注者に対し労務・資材費の見直しを求める意見が多く寄せられた。技能労働者の賃金水準の引き上げに向け、国土交通省は全中建ら建設4団体と、2021年に「おおむね2%以上」の賃金上昇率を目指す目標を掲げる。発注者側の姿勢が問われそうだ。

調査は2260社を対象に昨年10~12月に実施し696社が回答した(回収率30・7%)。最新の積算基準が適用されているかどうかの問いに対し「適正でない」と回答した企業の割合は、発注機関別に国54・0%、都道府県66・9%、市町村74・2%だった。

適切な積算基準を求める意見の中には、「交通誘導警備員の労務単価を実勢価格にしてほしい」「工事規模が小さい案件では単価設定と実勢価格の乖離(かいり)が大きい」など、実態に即した対応を要望する意見が相次いだ。大きな乖離がある場合は「変更協議などで柔軟に対応してほしい」「小規模施工の単価を見積もり徴収すべきだ」といった要望があった。

予定価格が「適正でない」と回答した企業の割合は国43・3%、都道府県56・5%、市町村64・8%。工期設定が「適正でない」と回答した企業の割合は国60・7%、都道府県76・3%、市町村79・1%。都道府県と市町村で高い割合を占め改善が進んでいないようだ。

新・担い手3法が制定されたものの、「県発注工事は内容により適正利潤の確保が厳しい」「第2、第3四半期での早期発注がメイン。ピークが移動しただけ」といった指摘もあり、工事や引き渡し時期の平準化を求める声が根強い。

低入札価格調査基準、最低制限価格の設定に対しては、調査基準、制限価格の引き上げを求める声がある。新・担い手3法が発注者に「浸透していない」と捉えている企業は全体の5割近くを占めた。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る