2021/06/17 日建連意見交換会を振り返る・下/CCUSを将来世代の贈り物に

【建設工業新聞  6月 17日 1面記事掲載】

◇完全週休2日へ業界変革

公共発注機関の週休2日モデル工事は施工中を通じ、週休2日相当となる28・5%(28日中8日)以上の閉所ができれば4週8休をクリアすることになる。2024年4月からの時間外労働の上限規制は原則、月45時間かつ年360時間に設定。特別な事情がある場合でも45時間を上回るのは6カ月が条件となる。日建連の清水琢三副会長土木本部副本部長は「忙しい時に休みなく作業し、余裕のある時に休んだのでは通用しなくなる」と危機感を募らせる。=2面に関連記事

日建連は各発注機関の週休2日モデル工事に対し、「発注者指定型は受注者希望型に比べ、4週8閉所を設定できている割合が高い」と効果を強調し拡大を求めた。自治体では岩手県が受注者希望型から発注者指定型に切り替えたと明かした。中平善伸県土整備部部長は「適正な工期を基に週休2日を確保できているか、より厳しくチェックする意識が働くようになった」と説明。日建連の主張を裏付けた。

土日の休みが当たり前という環境で育った世代にとって、慣れ親しんだ土日に休める環境が前提にないと入職は望めない。中部地方整備局は本年度、本官工事を完全週休2日(毎週土日・祝日を現場休工)にするとの方針を打ち出した。

17年度から土日閉所に限定した週休2日制度を進めてきた兵庫県の服部洋平県土整備部長は「悪天候や作業工程の関係で、あまり厳密にされると非常に厳しいという声も一部にある」と打ち明ける。本年度から1カ月当たり2日を上限に、土日の閉所を平日に振り替えられるよう運用を変更したという。柔軟に対応しながら週休2日の確保に向けた受発注者の模索が続く。

処遇改善の切り札とされる建設キャリアアップシステム(CCUS)。23年度から民間工事も含むあらゆる工事での完全実施まで残り2年を切った。技能者に加入メリットが伝わらず、登録が進んでいないのが現状だ。「われわれの魅力づくりと発注者の義務化があいまって、CCUSが業界インフラとして機能し、将来世代への贈り物にしたい」。押味至一副会長土木本部長は各地区の意見交換会で義務化の必要性を繰り返し訴えた。

15日に行われた意見交換会の総括会見で、清水副本部長は「CCUSはまだまだ温度差がある」としながらも、「地域の建設業が熱心に取り組もうとしているエリアでは自治体が非常に前向きな取り組みを始めている」と評価した。

今回の意見交換では、担い手確保への危機意識を受発注者で共有した。そのための働き方改革であり、生産性向上に一緒に取り組む方針を確認した。各地区の議論の成果や課題は今後、本省とのフォローアップ会議でさらにブラッシュアップされることになる。

(編集部・田村彰浩)

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