2021/06/23 関東地区の地域建設業協会/新型コロナワクチン接種に苦慮/医師や会場の手当て課題

【建設工業新聞  6月 23日 5面記事掲載】

新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、関東に拠点を置く建設業協会の担当者が対応に苦慮している。会員企業が対応を求めた協会はあるものの、感染者や一般接種の動向とともに対策に奔走する都県の対応が大きく異なる。職域接種は医師や会場の手当てが課題。接種を受ける人の管理や接種後の副反応もあり、団体として動きにくい事情がある。ある協会の首脳は「手をこまねいているわけではない」と苦しい胸の内を明かす。

「職域接種に関する団体としての対応は困難という結論に達した」。ワクチン接種の在り方を検討してきたある協会の首脳は現状を説明する。職域接種は医師や看護師、会場の運営スタッフなどを手当てするだけでなく、接種後も副反応の報告などが必要になる。断念した理由の一つに挙げたのは医師の確保。地域の自治体と産業界で医師確保の調整が難航中で、日当を含め課題は多いという。

「かなりの医師が必要になりそうだ」。嘱託産業医を置いていない会員企業が少なくない別の協会の首脳も医師の確保を課題に挙げ、「もう少し勉強してみる」と語る。自治体に相談したところ「医師会で対応するという話があった」ものの、接種と同時に感染者の治療が依然として地域の課題の中で、「医師に余裕がなく、(職域接種は)現実には難しい」と認識している。

協力会社を含め、まとまった数の接種を検討する過程で、「下請業者までとなると(人員的に)管理が難しくなる」と判断した協会や、「地域の感染者が少ない」ことで「今のところワクチンに関する動きはない」という協会もある。感染者の推移をにらみ「様子見したい」という協会は少なくない。

「地域を守る会員企業の接種を早めたいが、地域建設業の一団体主導の職域接種は現実的ではない」と見ている協会幹部は複数いる。ある協会には「自治体と連携した群馬県建設業協会の対応が理想かもしれない」と語る担当者もいる。群馬県は建設業をエッセンシャルワーカーに位置付け、優先接種の対象に加えた。

群馬建協は本部が接種希望者を調整し、支部ごとに県の大規模接種会場で接種を進める。ある協会は自治体に相談したが「『優先はない』との返事があった」という。

ワクチン接種に関する都県の状況は、大規模接種会場で18歳以上の接種を始めていたり、接種券の発送が遅れていたりと地域によって様相が大きく異なる。動向を都県の各協会が注視する中で、ある協会の若手管理職は「会員企業主導と事務局主導、各団体の運営の差も出てきている」と語る。

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